同窓会報No.37

2020 年 第 37 号 TUT 同窓会報 27 卒業生・修了生の皆様、いかがお過ごしですか。 すでにご存知の方もいらっしゃると思いますが、2019 年 4 月より、「環境・生命工学系」から「応用化学・生命 工学系」へと、系の名称を変更いたしました。本系の主 軸である「化学」と「生命科学」を名称に組み込んだた め、どのようなジャンルを学んでいるかが一目瞭然です。 企業や地域の皆様、あるいは、本学への進学を考えてお られる高専生や高校生の皆様にも、本系が「化学」と「生 命科学」を二本柱として教育・研究を行っていることを、 明確に理解していただける名称だと思います。 2019 年度のマイクロ分離科学研究室(齊戸研究室) では、齊戸美弘 教授を筆頭に、博士後期課程 2 名、博 士前期課程 4 名、学部 2 名の合計 9 名により、日々の研 究に取り組んでいます。私達の研究室では、分析化学分 野の中でも最も一般的に使用されている分離手法である、 クロマトグラフィーおよびその技術関連の高性能化や小 型化について研究しています。現在、大きく分けて 2 つ の研究テーマに取り組んでいます。 1 つ目は、クロマトグラフィーにおいて試料を成分ごと に分離する「固定相」についての研究です。クロマトグ ラフィーは、化学をはじめとして、薬学、医学など幅広い 分野において使用されています。しかしながら、その分 離メカニズムには未解明の部分が多く残されており、本 研究室では、固定相の溶質分子に対する分子形状認識の 観点から、分離メカニズムの系統的解明に取り組み、そ の結果を応用した新規固定相の開発を行っています。 2 つ目は、クロマトグラフィー関連技術の一つである「試 料前処理」に関する研究です。試料前処理とは、環境試 料等の多成分からなる試料中に含まれる目的成分が微量 である場合、分析妨害物質を取り除くとともに、分析対 象成分を濃縮し、その後の分離分析プロセスにおいて、 高感度な検出を可能にする技術です。この技術において、 目的成分を保持させる抽出媒体について、研究を行って います。目的成分に応じた、抽出媒体を選択する必要が あることから、従来の抽出媒体に代わる高性能な新規抽 出媒体の開発が求められています。本研究室では、耐薬 品性や耐熱性を有する合成高分子材料を抽出媒体として 導入し、試料前処理デバイスを試作するとともに、その 試料前処理技術としての可能性を検討しています。 また、先代の神野清勝 教授の指導方針であった「修 士論文を英語で書く」伝統は今も受け継がれています。 現在、私も修士論文の作成に取り組んでおり、自分の研 究成果を英語でまとめることの難しさに直面すると同時 に、少しずつ英語で文章を書けるようになる喜びを感じ ています。この経験が、この先の人生の大きな力になり、 世界で活躍できる技術者への第一歩だと思っています。 これからも歩みを止めず、最初からできないと思わずにい ろいろなことに挑戦していきたいと考えています。 マイクロ分離科学研究室の近況報告 博士前期課程2年  網谷 美里

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