同窓会報No.38

着任のごあいさつ 6 2021 年 第 38 号 TUT 同窓会報 2020 年 4月に、機械工学系環境熱流体工学研究室の教授に着任いたしました土井 謙太郎 と申します。出身は大阪府吹田市で、これまでに京都大学で学び、助教を経て、大阪大学基礎 工学研究科で講師と准教授を経験してまいりました。私にとって、本学が初の関西圏外の職場 になりますが、山も海も近くにあり、このような恵まれた環境で仕事ができることを幸せに思います。 私がまだ学生であったころ、量子力学やスーパーコンピューターを用いた大規模計算が流行っ ていて、機械系の学部・専攻で学びましたが、物質を極めてやろうと思い、少し毛色の違う量子 物性学の研究室で理論と計算に没頭していました。暇を見つけては、他専攻の講義を聴講したり、 他研究室のゼミに潜り込んだりもしていました。研究者の道に進んだのは、指導教員の立花 明知先生(ノーベル賞の福井 謙一先 生の門弟)に刺激を受けたことがきっかけでした。研究をしているうちに輸送現象に興味を持つようになり、博士号を取った後に、大 阪大学の川野 聡恭先生とともに分子流体力学に関する研究を始めることになりました。もともとは原子や電子のダイナミクスを扱う理 論的な研究を専門としていたのですが、その知識を使って、微視的な物理化学現象と巨視的な輸送現象の関係を理論と実験で解 明する研究へと発展させてきました。特に最近では、マイクロ・ナノメートルの微視的空間に閉じ込められた液体の光や電気に対する 応答を調べることにより、新奇な機能を発現させる研究に取り組んでいます。 一人前の論文が書けるまでに10 年はかかると言われますが、前職で研究者として10 年が過ぎ、それらしい成果が得られるように なったと自負しています。本学で研究生活 20 年を迎えるころには、世の中に貢献するさらに大きな成果が出せれば良いなと想像を膨 らませています。本学の将来ある学生達とともに、充実した環境を存分に活用しながら、研究教育活動を楽しみたいと考えています。 今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。 機械工学系 教授 土井 謙太郎 2020 年 4 月に名古屋大学から本学機械工学系に着任をいたしました。これまで、特別 講義や共同研究、学会運営などで何度か本学に足を運んだこともあり、縁を感じております。 私の専門はスマートマテリアルと制御工学です。スマートマテリアルとは、電気や熱に 応答して変形や収縮する材料の総称です。私は名古屋大の早川 義一先生(制御工学) の研究室で圧電材料を用いた振動制御で学位を取得し、理化学研究所BMC 研究センター (細江 繁幸センター長、羅 志偉 GL)にて高分子材料を使ったロボットの人工筋肉の研究 を始めました。その後、名古屋大の石田 幸男先生、井上 剛志先生(振動工学)の研究 室に在籍し、振動制御やスマートマテリアルに関する研究を進めてきました。 現在、我々の研究室では、スマートマテリアルをロボットの「人工筋肉」や機械の駆動要素へ応用しようとしています。 釣糸人工筋、IPMC、誘電エラストマなどの材料を用いて、柔軟な筋肉で動くロボットや、柔軟で軽量な運動補助装具、音 のしないモータなどの実現に向けて研究を進めております。またスマートマテリアルの物理学やシミュレーション、制御方法 などの基礎についても研究しています。他にも、センサを用いない振動制御の開発や、伝達関数の位相に関する性質(消散性) を利用する制御理論についても興味を持っています。 本学でも横のつながりを大切に、新しい研究を始められたら良いなと考えております。どうぞ何卒よろしくお願い申し上 げます。 機械工学系 教授 高木 賢太郎

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