同窓会報No.38

2021 年 第 38 号 TUT 同窓会報 31 テーマ 4は「都市構成材の評価と都市空間の総合的な 最適設計」です。我々が生活する場の快適・健康(安全) 性は、ヒト自身の状態や周囲環境、それを形成する空間 の素材や特徴に影響されます。温熱的観点より、舗装や 建物外皮などの改質、植生の活用によるヒートアイランド 現象緩和を目的とした方策の検討を行い、とりわけ、ヒト の温熱状態を基準とした温熱環境評価手法を確立し、活 用しています。また、都市や街に求められるものは多岐に わたることから、都市域における熱、光、音などの相互 作用がもたらす効果について理解を進めております。 昨年度より新型コロナウイルス禍のため、研究以外 にゼミ旅行などの研究室活動は一切行うことができてい ません。今後コロナウイルス感染状況が落ち着いた後、 フィールドワーク含めてさまざま課外活動を随時ご報告 ご共有させて頂くのを楽しみにしております。 ご多忙とは存じますが、豊橋方面にお越しになる際は ぜひ当研究室にお立ち寄りください。研究室一同お待ち 申し上げております。最後となりましたが、卒業生・修了 生の皆様のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。 同窓生の皆様におかれましては、ますますご健勝のこ ととお慶び申し上げます。 2021 年 8 月現在、建築環境デザイン研究室には博士 前期課程 5 名(M 2:4 名&M 1:1 名)、学部四年生 5 名(モンゴル国籍留学生:1 名&日本人学生:4 名)の学 生が配属されており、島崎 康弘准教授とともに研究に励 んでいます。 現在の主要研究テーマに関して、大きく分けて以下4 つを紹介させていただきます。 テーマ 1は「室内環境温熱環境、空気質・換気性状 の最適設計」です。最適な建築物温熱環境、空気性状・ 汚染物質換気の評価技術を確立するともに、断熱や自然 換気などパッシブな手法により快適性実現を目指した基 礎研究に取り組んでおります。また、これらを実施可能と するためのセンシングや IoTを融合させたスマートハウ スの技術開発も行っております。 テーマ 2は「放射式空調による冷房時の室内環境及び 睡眠質に及ぼす影響の研究」です。膜材を用いた放射空 調方式の下、被験者実験により睡眠質に及ぼす影響を確 認するとともに、実大実験と数値流体力学(CFD)解析 により、放射式空調システムが導入された部屋を対象に、 温熱特性の把握を行うことで、対流空調方式と放射空調 方式でドラフト率などの比較・評価を行っております。 テーマ 3 は「都市域の酷暑環境を緩和するための建 築外皮の高反射化及び再帰反射化に関する研究」です。 建物の高断熱・高気密化を推し進めた結果、建物単体の 運用にかかるエネルギー消費量の削減は成功しつつあり ますが、街や地域、都市全体としてみたとき、依然とし て夏季の酷暑は対応しきれていない現実があります。そ うした課題への対策のひとつとして、建物外皮の高反射 化及び再帰反射化の研究を行っております。 建築環境デザイン研究室の近況報告 建築・都市システム学系 助教 袁 継輝

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