同窓会報No.38

18 2021 年 第 38 号 TUT 同窓会報 同窓生の皆様には、ますますご健勝のこととお喜び申し上 げます。 本年度も、本系への編入学志願者と一般入試からの配 属学生は定員を大幅に超えました。社会における機械学 習や人工知能技術への期待、競技プログラミングの流行、 SteamやVRChat の流行によるバーチャルリアリティの普及 などがその背景にあると思われます。本系は、このような時 代の流れに乗るだけではなく、その流れを増強し、また新し い流れを作っていくことを目標としています。 本系の特徴の1つである国際教育については、2019 年度 に始まった東フィンランド大学(UEF)とのダブルディグリー プログラム(博士前期課程)から最初の修了生が本年度(2020 年度)に輩出しました。本学からの学生もUEFからの学生 も新型コロナ感染症の流行前に渡航していたことから概ね当 初のプログラムを実行することができました。一方で、2020 年度から参加した学生は、その全てが遠隔教育となってしま いました。また、本年度からは、中内 茂樹教授・副学長(国 際連携)の指揮の下、文部科学省「大学の世界展開力強 化事業」の枠組みでUEF、フランスのジャン・モネ大学と ベルギーのKUルーヴェン大学と「近未来クロスリアリティ 技術を牽引する光イメージング情報学 国際修士プログラム (IMLEX)」が始まりました。こちらの学生も未だ渡航できず 遠隔教育を行っています。このように多くの学生が国外に留 学し、またそれ以上の学生が本学に留学してくる状況で、従 来進めてきたバイリンガル授業(資料は英語、口頭説明は日 本語中心)ではなく、全てを英語で行う講義を全学生に提 供することに踏み切りました。現在、博士前期課程専門科目 のうち8 科目(全体の25%)が英語科目となりました。 新型コロナ感染症による教育・研究への影響は避けて通 れない話題です。同窓会からは多額の寄付をいただき、教員・ 学生一同感謝しております。同窓会と大学の支援もあり、学 生が経済的に困る事態は避けられました。しかし、長く入構 が制限され、遅れて開始された講義もほぼ全てがオンデマン ド講義となり、課外活動の制限も厳しく、学生の精神衛生の 問題は大きいものでした。系として複数のオンライン学生懇 親会開催や感染対策をした自習室の整備とチューターの配置 などを行いましたが、対面での交流の機会のない学生同士 がオンラインで心を通じることは難しいようでした。また、教 員はオンデマンド講義への対応に追われました。ネットワーク 環境の制限の為に双方向オンライン講義が原則認められず、 オンデマンド教材を作ることになりましたが、情報系の教員 であってもそう簡単ではありません。映像ではなく静的資料 のみの講義も少なくなく、また映像資料の準備にも不備があり、 学生からの不満もありました。真摯に受け止め、改善してい く次第です。 さて、本年度も数名の教員の異動がありました。後藤 仁 志准教授が 2020 年 4 月から情報メディア基盤センター教 授に昇進し、新しく作られたIT活用教育センター長を務め、 また学長特別補佐(IT・AI 担当)として大学の情報化を担っ ています。原田 耕治助教は、2021年 2月にIT活用教育セ ンターの准教授に昇進しました。後藤教授、原田准教授とも に本系兼任として、教育・研究にも貢献しています。そして、 2020 年 4月には高橋 茶子助教および和佐 州洋助教が、鈴 木 幸太郎教授および藤戸 敏弘教授の研究室にそれぞれ 着任しました。また、特任助教 2 名および特任助手 2 名が 2020 年 3月あるいは4月から着任しています。 新型コロナ感染症の流行下において、情報・知能工学系 はその対策の旗を振り、新しい価値観、行動基準、教育・ 研究の方法、コミュニケーションの刷新を目指すべきです。 今は、時空を超えた情報の時代といえるでしょう。しかし、 残念ながら実世界において、そこまでの成果を上げることは できておりません。今一度、情報とは何か、知能とは何かと いう根源的な問いに立ち返り、新しい情報・知能工学の構築 のため、教育研究環境の発展に取り組んで参ります。同窓 生の皆様方におかれましては、引き続きご支援とご鞭撻をよ ろしくお願いしたく存じます。 学内近況報告 系長 北崎 充晃

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