8 2026年 第43号 TUT 同窓会報 計測システム研究室は、30年以上前に「材料加工 システム研究室」から名称変更されて以来、その系譜 を継ぎ、現在、システム制御・ロボットコースに属す る4研究室のひとつとして歩みを続けています。長い 歴史の中で、機械工学の枠組みを広く捉え、多様な分 野に研究を展開して参りました。2020 年 3 月までは、 章 忠教授(2020年4月に広島工業大学工学部にご転 出)が研究室を主宰し、視線推定やCATシステムな どの画像認識に関する研究、ウェーブレット変換等の 信号処理に関する研究が推進されました。これらには、 2015 年 4 月に助教として着任し、2025 年 8 月に山梨 大学准教授として転出された秋月拓磨助教も参画して いました。2016年1月からは真下智昭准教授(2022 年4月より岡山大学 教授)が加わり、マイクロロボッ ト・超音波モータ・圧電/アクチュエータの領域へ研 究を拡張しました。その後、2021 年 4 月に農業工学(農 業情報システム、植物診断計測、植物環境制御)を専 門とする高山弘太郎教授が着任し、「機械工学による 地域農業イノベーション」を掲げ、研究室は新たな挑 戦のフェーズへと入っています。 農業は、担い手不足・高齢化・大規模離農といった 深刻な課題に直面しています。特に本学が位置する東 三河地域は、国内有数の施設園芸(ハウスなどの施設 を用いて、栽培環境を人間が制御する生産形態)地帯 でありながら、例外ではありません。このような状況 を背景に、当研究室では、計測システム工学で農業の 労働生産性と土地生産性を高める技術を創出し、開発 成果を迅速に地域実装することで施設園芸を活性化さ せるとともに、新技術の全国・世界展開を目指し、研 究に取り組んでいます。 研究室の核となるコンセプトが「スピーキング・プ ラント・アプローチ(Speaking Plant Approach)」で す。このコンセプトは、“様々なセンサを用いて植物 の生体情報を計測して生育状態を診断し、その診断結 果に基づいて栽培環境を適切に制御する”というもの であり、世界的にも施設園芸の生産革新技術として注 目されています。当研究室ではこれまでに、リアルタ イム光合成計測に基づく「光合成最大化」環境制御シ ステムや生育状態を網羅的に把握する植物生体画像計 測ロボットの開発に成功しています。これらの先端技 術は、科学研究費のみならず、農林水産省・経済産業 省・環境省、愛知県・豊橋市・愛媛県などの多層的な 支援を受けながら、研究員3名、大学院生16名、学 部生9名、研究補助員5名で推進されています(写真1)。 直近では、「利益最大化型セミクローズド温室」の実 用化を目指し、本学発ベンチャー PLANT CASE株 式会社(認定番号第7号)を設立し、地域の施設園芸 産業との連携を強化しつつ、開発成果の地域実装を本 格化させています。また、生体情報計測技術を強みと して、本学の協定校であるマレーシア科学大学との共 同研究など、海外研究機関と連携も推進しています。 キャンパス内には、研究開発拠点として人工光型植 物工場(コンテナ型2棟)、太陽光型植物工場(従来 型 1 棟・セミクローズド型 1 棟)が整備されています (写真2)。ご希望があれば、研究室メンバーがご案内 し、実際の計測・制御技術をご覧いただくことも可能 です。本研究室では、機械工学の知見を活かし、地域 農業・社会課題への挑戦を続けています。今後も、共 同研究や成果活用の機会を通じて、皆様とともに「未 来の農業を工学で創る」取り組みを進めてまいります。 どうぞお気軽にご連絡・ご訪問ください。 計測システム研究室 教授 高山 弘太郎
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