〈弱いロボット〉の数々。みなさんの推しロボットは? 16 2026年 第43号 TUT 同窓会報 みなさんは、「弱いロボット」という言葉をご存じで しょうか?「えっ、弱いロボット!?」「どうしてロボッ トが弱いの?」「暮らしに役立ってくれるのがロボット であり、弱くちゃダメなんじゃないの?」と、いろい ろな感想を抱かれることでしょう。この〈弱いロボット〉 の代表例は、自らではゴミを拾えないものの、まわり の手助けを上手に引き出しながら、ちゃっかりゴミを 拾い集めてしまう〈ゴミ箱ロボット〉です。このアイ ディアは約 20 年前に、愛知県で開催された「愛・地球 博」でのプロトタイプロボット展への応募の際に生ま れました。「地球環境のために、こんな〈ゴミ箱ロボッ ト〉はどうか!」と意気込んで応募したものの、あえ なく書類審査でボツに! 当時の審査員(ロボット研究 者たち)から見たら、「子どもの手助けがないとゴミを 拾い集められないロボットなんて、ロボットとはいえ ないのでは?」「もっと未来志向の技術を提案してよ!」 ということだったようです。 落選後は、しばらくは意気消沈していました。とこ ろが数年後、縁があって豊橋技術科学大学にお世話に なることに。ここは全国の高専等で腕を磨いてきたロ ボコンの強者 ( つわもの ) たちの巣窟でした。わたした ちの研究室 (ICD-LAB) に集まってきた学生たちの技術 力と遊び心、そしてデザイン力が「半端ない!」のです。 それから19年間、何気ない雑談の中から30タイプを 超えるくらいの〈弱いロボット〉たちを生み出してき ました。「アームを取り付ける技術もお金もないのなら、 子どもたちの〈手〉を借りてしまったらどうか…」など、 あり合わせの部品をかき集め、いろんな制約も味方に つけながら、それぞれの学生さんたちの得意なワザを 持ち寄り、みんなでワイワイ・ガヤガヤと一つひとつ のロボットを企画・立案し、仕上げていく。このブリ コラージュ・スタイルでのモノづくりがユニークな〈弱 いロボット〉たちを生み出すコツだったようです。 とてもありがたいことに、いまでは小学校5年生の 国語教科書 ( 東京書籍 ) や中学校の英語教科書 ( 光村図 書)、高校の現代国語(第一学習社)や英語教科書(三 省堂)などに、わたしたちの〈弱いロボット〉の話題 が教材文として掲載されています。〈弱いロボット〉の 不完全なところや弱さは、まわりの人の主体性や創造 性を奪うことなく、むしろ引き出してくれる。お互い の主体性を奪うことなく、ゆるく依存しあう、そんな コンビビアルな ( 自立共生的な・共愉的な ) かかわりを 生み出す上でのキーアイディアとなっていたのです。 こうして振り返ってみると、いろいろな出会いは、 その時その時の「偶然」にすぎません。でも、「あの出 会いがなければ、いまここにはたどり着けなかったは ず!」と、一つひとつの積み重ねが「必然」となって いるのですから、とても不思議なものです。というわ けで、これまでのみなさんとの ( 偶然ともいえる )「出 会い」に感謝いたします。そしてこれからも、わたし どもの〈弱いロボット〉研究はさまざまな出会いを続 けていくことでしょう。引き続き、どうぞよろしくお 願いします。 出会うは偶然、出会ってからは必然! 情報・知能工学系 教授 岡田 美智男 (おかだ みちお)
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