2026年 第43号 TUT 同窓会報 1 豊橋技術科学大学同窓会の皆様方におかれましては、 常日頃より同窓会活動にご理解とご協力を賜り、誠に ありがとうございます。 昨年は、大阪万博の盛況、ドジャースのワールドシ リーズ優勝に貢献した日本選手達の大活躍 ! といった明 るいニュースの一方、高市総理の存立危機事態発言に 端を発する中国側のレアアースの対日輸出規制、年初 のアメリカによるベネズエラへの軍事攻撃と、様々な 国内外の動きに影響を受けながらも同窓生の皆様は奮 闘、活躍されていることと思います。 さて、今年は母校の 50 周年! 大学は 50 周年を記念して様々な事業を企画されてい て、同窓会もその支援を行うべく、寄付に加えて1期 生から今年の卒業生までに声がけをする「各系の同窓 懇親会」を卒業生連携室と協働して準備をしています。 「各系の同窓懇親会」は、50周年を機に、改めて同窓 生のネットワークを築くチャンスでもあり、また WEB 名簿システムの卒業生の連絡先の整備などに繋げられ ればと思っています。皆様におかれましては、是非、 同窓懇親会にご参加いただくとともに、参加できない 方もご自身の連絡先をWEB名簿システムにご登録い ただければ幸いです。 また、50周年記念事業の一つとして、皆様のキャン パスの原風景でもあるあの中庭を、学内外の人が自然 に集い、学び合い、交流できる場とする「イノベーショ ン・コモンズ」として整備するデザインコンペも企画 されています。余談ですが、私自身、同窓会会長と建 築設計を生業としている立場で審査員として参加させ ていただく予定で、同窓生や在学生からのアイデアを 楽しみにしているところです。 同窓会活動としては、2023 年秋号を初号に配信を始 めた季報「技科大の顔」は、多くの卒業生のご協力を 得て、2026 年冬号まで配信できました。初号から数え て10号、延べ200名の卒業生の活動と母校への想い が伝わる企画として継続しています。ご執筆いただい た皆様、とりまとめをいただいている先生、在学生の 皆様に感謝申し上げます。「技科大の顔」は懐かしい顔 を見つけたり、声がけのきっかけとなったりと好評で、 皆様におかれましても、ご一読いただければと思いま す。また、来年度は、海外留学生版を企画していて、 こちらも楽しみになさって下さい。 この他にも例年継続している優秀な学部卒業生への 「同窓会会長賞」の授与、「学生課外活動支援」の他、 前古野同窓会会長から始まり好評をいただいている食 堂での「めざましごはんプレミアム」、加えてコロナ禍 の中で始めた「同窓会カレー」への経費支援など、学 生の健康、学びや研究の糧となる支援を行っています。 また、同窓生を対象とした「懇親会やパーティ等の 交流活動への助成」ですが、昨年度は13の懇親会、 267名の方に一人2千円の助成をさせていただきまし た。特に今年度は、4期生の系をまたいで開かれた全 系約70名の同窓懇親会をはじめ、「雲雀会」と名のつ く企業の中での同窓生懇親会など、多くの懇親会が企 画、開催されています。皆様も同窓生が集まる場に、 是非、この助成をご活用ください。 最後になりますが、私は今年度を持って同窓会会長 を退任させていただきます。8代目として 2020 年度か らの6年間、特に就任早々にコロナ禍となり、同窓会 から在学生への支援を行うなどの多くの活動を行うこ とができました。同窓会役員の皆様をはじめ、多くの 同窓生の皆様に支えていただいたおかげと、心から感 謝と御礼を申し上げます。 また、次期同窓会会長は、1系で 1989 年修了の山本 義久さんに引き継いでいただく予定です。今後とも、 同窓会活動への皆様のご協力、ご理解をお願いして、 退任の挨拶とさせていただきます。 長きにわたり、ありがとうございました。 旧6系(建設工学系)4期生 若林 亮 株式会社 日建設計 デザインフェロー
豊橋技術科学大学 公式マスコットキャラクター「ギカじか」 2 2026年 第43号 TUT 同窓会報 令和 7 年 11 月 1 日(土)13 時より、第 4 回目となる「ホームカミングデー 2025」を豊橋技術科 学大学との共催で A-101 大講義室にて開催しました。 今年のホームカミングデーでは、博士後期課程の学生による研究成果発表や、総合文化部喫茶部 門の学生によるドリンクサービスで参加者をお迎えしました。 約 250 名の卒業生・修了生、在学生、教職員の皆さんが集まり、盛況な会となりました。 開会にあたり、本学吹奏楽団による歓迎演奏が行われ、華やかな雰囲気の中でスタートしました。 続いて、若原学長よりご挨拶と大学の近況報告がありました。 同窓会会長であり、株式会社日建設計のデザインフェローでもある若林氏からは、同窓会の活動 状況についてご報告いただきました。 在学生からの感謝のメッセージとして、ロボコン同好会が活動内容を紹介し、日頃の支援への感 謝の言葉を述べました。 また、10月に実施した課外活動団体支援募金「Giving Campaign 2025」の報告も行われ、支援 者の皆様への感謝が伝えられました。 その後、参加者は所属系ごとに研究室見学や系の取り組み紹介、恩師や在学生との交流を楽しみ ました。 各系の企画の終了後は、福利施設「ひばりラウンジ」に会場を移し、同窓会主催の交流会を開催 しました。こちらには約150名が参加し、井上理事のご挨拶、若林会長の乾杯の発声で開会しました。 会場では、あちこちで思い出話に花が咲き、活躍中の卒業生からの挨拶もありました。抽選会で は、東三河の地酒が景品として贈られ、当選された 5 名の方に喜んでいただきました。 最後は神保理事の閉会の挨拶で、盛況のうちに幕を閉じました。 参加者からは、「久しぶりの再会や新たなネットワーク形成ができて有意義であった」「ご活躍の 皆様のお話を伺い在校生の意気込みも感じられ交流が深まった」といった感想が寄せられました。 豊橋技術科学大学は 2026 年に開学 50 周年を迎えます。節目の年を迎えるにあたり、卒業生の皆 様とのネットワークをさらに強化してまいります。 今後とも、温かいご支援とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
2026年 第43号 TUT 同窓会報 3 若原昭浩学長の近況報告 ロボコン同好会伊藤原野さんの活動内容の紹介 交流会の様子 若林亮同窓会長の活動報告 会場の様子 吹奏楽団によるオープニング歓迎演奏 交流会の集合写真
4 2026年 第43号 TUT 同窓会報 同窓会の皆様におかれましては、お元気にご活躍 のこととお慶び申し上げます。平成22年4月に学部・ 大学院組織を再編して、5つの系と総合教育院にお いて教育と研究が行われており、旧機械システム工 学系(旧 1 系)および旧生産システム工学系(旧 2 系) を統合した機械工学系(1系)として活動しており ます。 機械工学系の組織は、機械・システムデザインコー ス、材料・生産加工コース、システム制御・ロボッ トコース、環境・エネルギーコースの4コースで構 成され、計 15 研究室があります。教員、学生ともに コースに所属する研究室に在籍しております。執筆 時現在(2025.11)、教授 15 名(兼務教員 1 名含む)、 准教授 10 名、助教 10 名の計 35 名の教員が所属して おります。2025 年度 7 月末には、計測システム研究 室の秋月 拓磨 助教が山梨大学の准教授として異動さ れました。2025年10月から、機械ダイナミクス研 究室の田尻 大樹 助教、マイクロ・ナノ機械システム 研究室の岡本 俊哉 助教、環境熱流体工学研究室の岸 本 龍典 助教がそれぞれ任期のないテニュア助教と して認定され、当系の教育研究を益々盛り上げてい ただけるものと期待されます。 総合研究棟の一つであるE1、E5棟に引き続き、 概算要求での施設整備費として承認された E3 棟の改 修が本年度実施されています。また2020年度以降、 教育現場に大きな混乱をもたらした新型コロナウィ ルス感染症の影響で一時期は教育も混乱しましたが、 今はそれも落ち着き、活気に満ちたキャンパスに戻 りつつあります。副産物として浸透したオンライン 授業も効果的に取り入れた新しい教育スタイルへと 変貌を遂げており、時代に合わせた教育環境を提供 しています。留学生数も以前に比べて格段に増えて おり、多様な学生が様々な場面で活躍しています。 特に本系の学生の活躍については、「機械工学系公式 X(旧 twitter)」(https://x.com/TUT_kikai)でも配 信しております。是非とも皆さま、フォローをお願 いします。 このように、本学・本系を取り巻く環境は留まる ことなく都度変化しておりますが、本系では、今ま で以上に社会に貢献できる教育・研究を行ってまい ります。近く50周年を迎える節目の年となりますが、 同窓会の皆様には、引き続きご支援、ご指導を賜り ましたら幸いです。末尾ながら、同窓生の皆様の益々 のご活躍をお祈り申し上げます。 なお、本学名誉教授である竹園茂男先生が本年7 月にご逝去されました。先生の永年にわたる当系に 対する暖かいご指導に感謝するとともに、心からご 冥福をお祈りいたします。 学内近況報告 系 長 中村 祐二
2026年 第43号 TUT 同窓会報 5 教職員紹介(令和7年10月現在) 【機械・システムデザインコース】 教 授 河村 庄造、足立 忠晴、柴田 隆行、永井 萌土 准教授 竹市嘉紀 助 教 田尻 大樹、岡本 俊哉 【材料・生産加工コース】 教 授 三浦 博己、小林 正和、戸髙 義一 准 教 授 安井 利明、安部 洋平、大場 洋次郎、足立 望 助 教 Khoo Pei Loon、石井 裕樹 【システム制御・ロボットコース】 教 授 佐藤 海二、内山 直樹、高山 弘太郎、 高木 賢太郎 准 教 授 佐野 滋則、高橋 淳二 助 教 比留田 稔樹、武田 洸晶、堀尾 亮介 【環境・エネルギーコース 】 教 授 飯田 明由、中村 祐二、土井 謙太郎、 横山 博史 准 教 授 鈴木 孝司、関下 信正、松岡 常吉 助 教 岸本 龍典、倉石 孝、松木 大輝
6 2026年 第43号 TUT 同窓会報 卒業生ならびに修了生の皆様におかれましては、 ご健勝のこととお慶び申し上げます。マイクロ・ナ ノ機械システム研究室は、現在、柴田隆行教授と岡 本の 2 人で運営しております。私は 2021 年度に着任 しました。また、永井萌土教授が 2022 年より独立さ れ、ハイスループットマイクロ・ナノ工学研究室を 立ち上げられたことで、現在の体制になっておりま す。2025 年度は、修士の学生が 11 名、学部生が 10 名、 そして研究員1名で構成されています。ハイスルー プットマイクロ・ナノ工学研究室と居室や実験室、 一部の装置などを共有していることもあり、学生間 の交流も多く、活気のある研究室となっています。 当研究室では、『MEMS技術を究めナノとバイオ への架け橋を築く!』、『技術を究め、技術を創る。』 をモットーに研究を行っています。その中で現在は、 微細加工技術を基盤に、「単一細胞のナノメートルス ケールでの加工、解析を実現する装置開発」と、「マ イクロ流体デバイスを用いた診断システムの構築」 を中心に取り組んでおり、いずれも物理現象の摂理 に則ったスマートなメカニズムによる目的の実現を 目指し、研究を進めています。特に診断システムの 開発においては、数年後の社会実装を目標に研究を 加速させています。 診断システムは、サンプル中の遺伝子やタンパク 質の検出、定量を目的としています。マイクロ流体 デバイスを用いることで、より少ないサンプルで、 より多くの項目数を、短時間で分析できるようにな ります。しかしながら社会実装においては、いかに 高度な分析や診断ができたとしても、コストについ て考えなければなりません。そこで当研究室では、 マイクロ流体デバイスの構造だけで、これらの分析 に必要となる任意の流体制御を実現する新たな制御 技術開発に取り組んでいます。これにより、余計な 制御装置やそのコストを削減することができます。 このように当研究室の研究は、バイオ分野へ応用 するものが多いですが、我々は機械工学系であるこ とを強く意識しています。機械工学では「ものづくり」 を行います。良い結果(チャンピオンデータ)を1 度取るだけでなく、何度も同じようなデータを得ら れるようになって初めてそれが製品になりえます。 このことから普段の研究においても、マイクロ流路 内の機構が単に狙い通りの動作をするか否かだけで なく、その境界(閾値)はどこにあるのかや、影響 を与えるパラメータは何なのかなどを追究し、その 機構や制御理論を汎用的に応用できるようになるこ とを目標に研究をしています。 卒業生ならびに修了生の皆様におかれましては、 近くにお越しの際にはぜひ研究室にもお立ち寄りい ただければ幸いです。研究室一同お待ちしています。 最後になりますが、皆様の益々のご活躍をお祈り申 し上げます。 マイクロ・ナノ機械システム研究室の近況報告 助教 岡本 俊哉
2026年 第43号 TUT 同窓会報 7 卒業生ならびに修了生の皆様におかれましては、 ご健勝のこととお慶び申し上げます。 2025 年度の本研究室のメンバーは、教授の三浦博 己先生、研究員 1 名、秘書 1 名、修士学生 14 名、学 部生6名と私となっています。ベトナムとマレーシ アから来た留学生が在籍しています。お隣の材料保 証研究室と実験装置類を共用したり、大掃除などの 活動を一緒に行ったりすることも多く、大所帯です。 本研究室は、教員居室と学生居室に加えて、熱機 械実験室と試料準備室、SEM室、大実験室と呼ばれ る実験室を使用しています。さらに、近年 E1 棟の改 修工事が行われ、E3棟にあった低層実験室がE1棟 に引越しとなりました。E1棟は壁も床も新品同様で、 冷暖房も設置されています。昨今は気温の高い日が 多くなってきていますが、実験装置にも作業する人 間にとっても環境が改善されました。一方で、古い 部屋では、エアコンや分電盤の故障等が時々生じる ようになってきました。今後も、老朽化対策には継 続的に取り組んでいかなければなりません。 研究テーマは、金属材料の機械的特性と金属組織 の関係に関するものを中心としており、より高強度、 高性能な金属材料の実現を目指して活動しています。 実験装置として、最新の大型圧延機や高精度解析ソ フトウェア類、ワークステーションなどが新たに導 入され、研究に活躍しています。社会のニーズの変 化や研究の進展にともない、実験装置の更新にも継 続的に取り組んでいかなければなりません。大学予 算の不足は世間でも度々話題になっていますが、本 学においても学内の予算のみでは到底研究費を賄う ことはできず、外部の競争的研究費や企業との共同 研究費が重要性を増してきています。 新型コロナの影響はすっかり感じられなくなりま したが、コロナ禍で導入された様々なオンライン システムは、利便性のために今も活用されていま す。研究面では、東京への出張はすっかり無くなり、 web会議に切り替わりました。コロナ禍以前を振り 返ると、東京に行く目的のほとんどが研究打ち合わ せで、そのために大きな労力を費やしていたことが 実感されます。その一方で、ほとんどの学会が対面 での開催に戻りました。 近年は就職活動が激増しており、学生が疲弊し、 研究活動にも支障が出てきてしまっています。少子 化で売り手市場になってきているとは言え、学生の 向上心も増してきているのかも知れません。学生に 安心して研究に励むことができる環境を提供するた めに何ができるのか、日々悩んでいます。 同窓生の皆様におかれましては、豊橋付近を訪れ る機会がございましたら、ぜひ研究室にもお立ち寄 り頂ければと存じます。末尾ながら、同窓生の皆様 の今後ますますのご活躍をお祈り申し上げます。 高強度マテリアル開発・評価研究室の近況報告 准教授 大場 洋次郎
8 2026年 第43号 TUT 同窓会報 計測システム研究室は、30年以上前に「材料加工 システム研究室」から名称変更されて以来、その系譜 を継ぎ、現在、システム制御・ロボットコースに属す る4研究室のひとつとして歩みを続けています。長い 歴史の中で、機械工学の枠組みを広く捉え、多様な分 野に研究を展開して参りました。2020 年 3 月までは、 章 忠教授(2020年4月に広島工業大学工学部にご転 出)が研究室を主宰し、視線推定やCATシステムな どの画像認識に関する研究、ウェーブレット変換等の 信号処理に関する研究が推進されました。これらには、 2015 年 4 月に助教として着任し、2025 年 8 月に山梨 大学准教授として転出された秋月拓磨助教も参画して いました。2016年1月からは真下智昭准教授(2022 年4月より岡山大学 教授)が加わり、マイクロロボッ ト・超音波モータ・圧電/アクチュエータの領域へ研 究を拡張しました。その後、2021 年 4 月に農業工学(農 業情報システム、植物診断計測、植物環境制御)を専 門とする高山弘太郎教授が着任し、「機械工学による 地域農業イノベーション」を掲げ、研究室は新たな挑 戦のフェーズへと入っています。 農業は、担い手不足・高齢化・大規模離農といった 深刻な課題に直面しています。特に本学が位置する東 三河地域は、国内有数の施設園芸(ハウスなどの施設 を用いて、栽培環境を人間が制御する生産形態)地帯 でありながら、例外ではありません。このような状況 を背景に、当研究室では、計測システム工学で農業の 労働生産性と土地生産性を高める技術を創出し、開発 成果を迅速に地域実装することで施設園芸を活性化さ せるとともに、新技術の全国・世界展開を目指し、研 究に取り組んでいます。 研究室の核となるコンセプトが「スピーキング・プ ラント・アプローチ(Speaking Plant Approach)」で す。このコンセプトは、“様々なセンサを用いて植物 の生体情報を計測して生育状態を診断し、その診断結 果に基づいて栽培環境を適切に制御する”というもの であり、世界的にも施設園芸の生産革新技術として注 目されています。当研究室ではこれまでに、リアルタ イム光合成計測に基づく「光合成最大化」環境制御シ ステムや生育状態を網羅的に把握する植物生体画像計 測ロボットの開発に成功しています。これらの先端技 術は、科学研究費のみならず、農林水産省・経済産業 省・環境省、愛知県・豊橋市・愛媛県などの多層的な 支援を受けながら、研究員3名、大学院生16名、学 部生9名、研究補助員5名で推進されています(写真1)。 直近では、「利益最大化型セミクローズド温室」の実 用化を目指し、本学発ベンチャー PLANT CASE株 式会社(認定番号第7号)を設立し、地域の施設園芸 産業との連携を強化しつつ、開発成果の地域実装を本 格化させています。また、生体情報計測技術を強みと して、本学の協定校であるマレーシア科学大学との共 同研究など、海外研究機関と連携も推進しています。 キャンパス内には、研究開発拠点として人工光型植 物工場(コンテナ型2棟)、太陽光型植物工場(従来 型 1 棟・セミクローズド型 1 棟)が整備されています (写真2)。ご希望があれば、研究室メンバーがご案内 し、実際の計測・制御技術をご覧いただくことも可能 です。本研究室では、機械工学の知見を活かし、地域 農業・社会課題への挑戦を続けています。今後も、共 同研究や成果活用の機会を通じて、皆様とともに「未 来の農業を工学で創る」取り組みを進めてまいります。 どうぞお気軽にご連絡・ご訪問ください。 計測システム研究室 教授 高山 弘太郎
2026年 第43号 TUT 同窓会報 9 皆様、お変わりありませんでしょうか。当研究室は、 2020 年 4 月に先代の北村健三先生の後を継いで以来、 早くも6年目に入りました。発足当時はコロナ禍の 真っただ中で勉学も研究も思い通りに進まない時期が 続きましたが、ここ数年は平常運転に戻り、にぎやか な毎日を過ごしております。研究環境も少しずつ充実 してきており、発足当時とは比べものにならないくら い様々なことができるようになってきました。研究室 の学生も、先輩から代々受け継がれている微細加工の レシピを基に、各自で工夫を凝らしながらいかに小さ く精度よく加工を行うことができるか、日々努力を惜 しまず研究に邁進してくれています。一方、ソフトボー ル、テニス、駅伝、バーベキュー、飲み会など、運動 と遊びも全員で全力投球しており、何事にも思いきり 楽しむDNAも引き継がれています。最近では、学生 の研究成果も定期的に学会発表できるようになり、国 内の学会発表にとどまらず、国際会議で発表できるま でになりました。これも、卒業生・修了生の皆さんが 地道に積み上げてくれた基礎があってこそのことと感 謝しています。 OB・OG の皆様、いかがお過ごしでしょうか。修士 2年の越智壮二郎です。最近の研究室の様子について ご報告申し上げます。本研究室は、土井謙太郎教授と 鈴木孝司准教授、岸本龍典助教のもと、主に、マイク ロ・ナノスケールの熱および流体の輸送現象の解明に 取り組んでいます。先日、日韓共同開催の国際会議に 出席し、自身の研究成果を英語で発表して参りました。 英語でのプレゼンテーションは、自身の課題を浮き彫 りにするとともに社会で活躍するうえで重要な能力で あることを痛感しました。 今年は、スロバキアからの短期留学生や大阪公立大 学から研究留学生が来てくださり、研究室全体にとっ て良い刺激となりました。また、学生はみな研究室行 事や打ち上げへの参加も活発で、先輩、後輩関わらず 仲を深めることが出来ています。2025年10月25日 に行われた本学開学記念駅伝大会では、学部 4 年から 修士 2 年まで研究室のメンバーとチームで参加しまし た。結果は 4 位となりましたが、みなの意外な一面を 知れたことや全員が全力を尽くして走ることで非常に 充実したイベントとなりました。 学生生活も残すところあとわずかとなってきました が、良い締めくくりができるよう、日々を大切に過ご していきたいと考えています。卒業生ならびに修了生 の皆様におかれましては、ご多忙のことと存じますが、 豊橋方面にお越しの際は、是非研究室へお立ち寄りく ださい。研究室一同、心よりお待ちしております。末 尾ながら同窓会の皆様の益々のご活躍をお祈り申し上 げます。 環境熱流体工学研究室の近況報告 越智 壮二郎、土井 謙太郎 サテライトオフィスでの中間報告会 緊張の国際会議発表とその後の打ち上げ 駅伝大会の集合写真
10 2026年 第43号 TUT 同窓会報 卒業生・修了生の皆様におかれましてはいかがお 過ごしでしょうか。気候が比較的穏やかな豊橋でも、 さすがに今夏は猛暑・酷暑の日が長く続きました。 そのような中でも 8 月 23 日のオープンキャンパスに お越しになったOB・OGの方々、誠にありがとうご ざいました。私と研究室見学を対応させていただき ましたが、逆に色々なお話も伺い、楽しい時間を過 ごすことができました。 2024 年度も、電気・電子情報工学系に 100 名を超 える新しい学生たちが入学・編入してきました。ま た、教職員に関するご報告の一つとして、未来ビー クルシティリサーチセンター 特任教授 大平孝先生が 電子情報通信学会 功績賞を受賞しました。この他に も、多数の教員・学生が研究に関わる賞を受賞して おります。本系研究者・学生の活躍を謹んでご報告 させていただきます。 次に、2024 年度の先生方の異動についてご報告さ せていただきます。まず、2024年10月には勝見亮 太先生が材料エレクトロニクス分野の助教から准教 授に昇任されました。また、2025 年 3 月末には集積 電子システム分野から准教授の関口寛人先生が名城 大学へ転出されました。一方で、同月には集積電子 システム分野の特定教授として須藤稔先生が、機能 電気システム分野の助教として佐藤孝政先生が着任 されました。さらに、2025 年 4 月に集積電子システ ム分野の助教として權益賢先生が着任されました。 以上が電気・電子情報工学系の 2024 年度の近況報 告になります。 さて、2025 年 6 月には次世代半導体・センサ科学 研究所(IRES²)の新たな研究施設「LSI 棟(IRES²- 4)」および「オープンラボ棟(IRES²-5)」が竣工し、 新棟開所式が挙行されました。さらに、本学と豊橋 市が地域社会の発展と人材育成を目的とした覚書が 締結されるなど、半導体を核とした産業振興の枠組 みが充実してまいりました。今後も本系教職員一同、 社会に貢献できる人材育成と教育研究活動に一層取 り組んでまいりますので、同級生の皆様には変わら ぬご支援とご鞭撻をいただければ幸いです。 学内近況報告 准教授 羽賀 望
2026年 第43号 TUT 同窓会報 11 教職員紹介(令和7年12月31日 現在) 【材料エレクトロニクス分野】 教 授 松田 厚範、内田 裕久、八井 崇、武藤 浩行*1 准 教 授 中村 雄一、河村 剛、加藤 亮*2、勝見 亮太 助 教 引間 和浩 【機能電気システム分野】 教 授 滝川 浩史、稲田 亮史、村上 義信 准 教 授 川島 朋裕、東城 友都 助 教 佐藤 孝政 【集積電子システム分野】 教 授 澤田 和明*3、石川 靖彦、岡田 浩*1、河野 剛士*3 高橋 一浩、須藤 稔 准 教 授 山根 啓輔、崔 容俊、野田 俊彦*3 助 教 Piedra Lorenzana José Alberto、權 益賢 特 任 助 教 土井 英生 【情報通信システム分野】 教 授 市川 周一、上原 秀幸、田村 昌也、市坪 誠*4 准 教 授 竹内 啓悟、Xun Shao、羽賀 望 助 教 小松 和暉、Maodudul Hasan 【研究推進課技術支援係】 技術専門職員 日比 美彦、飛沢 健、赤井 大輔 *1総合教育院、*2教育研究基盤センター、 *3次世代半導体・センサ科学研究所、*4高専連携地方創生機構
12 2026年 第43号 TUT 同窓会報 卒業生・修了生の皆様、いかがお過ごしでしょうか。 皆様におかれましては、ますますご健勝のことと存じ ます。私たち「ワイヤレス通信研究室」は現在、上原 秀幸教授および小松和暉助教の指導のもと、博士前期 課程学生 8 名、学部学生 5 名が在籍しております。 本研究室では、無線通信技術の高度化に向けた研究 を進めています。現在は、コミュニケーショングルー プとセンシンググループの二つのグループに分かれて 研究に取り組んでいます。コミュニケーショングルー プでは、周波数資源の有効活用を目指した次世代通 信方式に関する研究を進めています。特に、同一周波 数帯で同時に送受信を行う「無線全二重通信」は、理 論上通信効率を2倍にできる有望な技術です。しか し、送信信号が受信信号に干渉する“自己干渉”が大 きな課題となります。本研究室では、この自己干渉を ディジタル信号処理により熱雑音レベルまで除去する 「ディジタル自己干渉キャンセラ」の研究に取り組ん でいます。一方、センシンググループでは、電波の性 質を利用して得られる情報を活用した新しい無線シス テムの創出を目指し、屋内位置推定と端末識別につい て研究しています。屋内位置推定の研究では、Wi-Fi やBLEビーコンを利用して、本学構内で利用可能な 人物ナビゲーションシステムの開発を進めています。 GPS が利用しにくい屋内環境でも高精度に位置を特定 できるよう、RSSI(受信信号強度)を用いた手法の 改良を行っています。端末識別の研究では、通信機器 の微小なハードウェア差異を活用して端末を見分ける RF フィンガープリンティングの研究を進めています。 低消費電力・低コストなIoT機器でも高いセキュリ ティを実現できるよう、環境変動に強い識別アルゴリ ズムの開発を行っています。 これらの研究活動に関して、研究室のホームページ (https://comm.ee.tut.ac.jp/wc/) で公開しております。 お時間がある時にご覧いただけたら幸いです。 研究室の行事では、BBQ、パターゴルフ大会などの レクリエーションや電磁波工学研究室(田村研究室) と応用電磁気研究室(羽賀研究室)の 3 研究室合同で ボウリング大会や忘年会、研究室旅行を実施するなど、 学年や研究室を超えた親睦を深める機会も多くあり、 研究による疲れを定期的にリフレッシュすることで研 究生活を楽しく過ごしています。 ご多忙とは存じますが,豊橋方面へ来られる機会が ございましたら,お気軽に研究室へお立ち寄りくださ い。 研究室一同、心から歓迎いたします。先輩方の 大学在学中、卒業・修了後のお話や現在の職場の経験 談などの貴重なお話を頂ければ幸いです。 末筆ながら、卒業生・修了生の皆様のご健康とさら なるご活躍を心よりお祈り申し上げます。 ワイヤレス通信研究室の近況報告 中野 笙太
2026年 第43号 TUT 同窓会報 13 同窓生のみなさまには、益々ご清祥のこととお慶 び申し上げます。生成 AI を中心とした情報技術の進 展は依然として著しく、社会的・産業的インパクト はますます大きくなっております。情報工学は時代 とともにその姿を変え続ける学問領域であり、本系 ではその変化を的確に捉えつつ、教育と研究の双方 において確かな基盤の強化を進めております。 本年度は、教員人事、教育環境の整備、そして若 手教員の研究的飛躍など、いくつかの重要な動きが ございましたので、ここにご報告申し上げます。 まず、人事に関するご報告です。秋葉友良先生お よび福村直博先生が教授に昇進されました。お二人 はこれまでも教育・研究・学内運営の中心として尽 力されてきましたが、この昇進は本系における研究 力のさらなる強化と若手人材育成体制の充実にとっ て大変心強いものであります。 一方で、本系を永年支えてこられた教員の転任も ございました。岡田美智男先生は、2025 年 3 月をもっ て豊橋技術科学大学を退職され、その後、筑紫女学 園大学現代社会学部に教授として着任されました。 また、本系に在籍された上田祥代先生は現在津田塾 大学において研究・教育活動を展開されており、顧 淳祉先生は福井大学学術研究院工学系部門にてご活 躍されています。それぞれ新たな環境のもとでその 専門性をさらに発展させておられ、本学でのご貢献 に深く感謝申し上げます。 次に、若手教員の研究面での顕著な成果について ご紹介いたします。佐藤幸紀准教授は、ASPIRE(先 端国際共同研究推進事業)に採択され、国際共同研 究の新たな展開を進めています。また、上原一将准 教授はJST創発的研究支援事業に採択され、脳脊髄 系インタラクションの先端研究に取り組んでおられ ます。こうした若手教員の挑戦は、本系の未来を支 える極めて重要な推進力となっております。 教育環境の整備についても触れておきます。コロ ナ禍以降長く閉室していた談話室(F-202)を本年度 より再開いたしました。現在は、学生の自習スペー スとして、またオンライン講義の受講環境として多 くの学生が利用しており、学生同士の交流と学修活 動を支える場として再び機能し始めています。加え て、大学・高専機能強化支援事業による修士課程教 育の拡充や、IMLEX プログラムをはじめとする国際 教育体制の整備も着実に前進しています。博士課程 学生や社会人博士志望者に対しても、長期履修制度 やオンライン指導体制の導入など、柔軟で多様な学 修を可能とする仕組みづくりを進めております。今 後も、次世代研究者の育成と社会における高度専門 職人材の輩出を目指し、制度の改善と教育研究環境 の充実を図ってまいります。 以上、2025 年度における情報・知能工学系の主な 近況をご報告申し上げました。本系は今後も、教育・ 研究・社会連携の各側面において確実な前進を遂げ てまいります。同窓生のみなさまには、これまでと 変わらぬご支援と温かいご助力を賜りますよう、心 よりお願い申し上げます。 学内近況報告 系 長 南 哲人
14 2026年 第43号 TUT 同窓会報 教職員一覧及び学生現員(2025年10月現在) 【計算機数理科学分野(Computer & Mathematical Sciences)】 氏 名 職 名 専門分野 鈴木 幸太郎 教 授 情報セキュリティ 川端 明生 教 授 スイッチングシステム、並列分散処理システム、ネットワークアーキテクチャ、ネットワーク品質 後藤 仁志 教 授 計算化学、ハイパフォーマンスコンピューティング(情報メディア基盤センター 兼任) 栗田 典之 准 教 授 量子生物学、計算科学、生命情報科学 佐藤 幸紀 准 教 授 計算機アーキテクチャ、計算機システム、ソフトウェア性能工学 ダラルノミケレ 准 教 授 量子情報 五十幡 康弘 准 教 授 計算化学、量子化学、理論化学(情報メディア基盤センター 兼任) 中村 純哉 准 教 授 分散アルゴリズム、分散システム、耐故障(情報メディア基盤センター 兼任) 原田 耕治 准 教 授 理論生物学、複雑系(IT活用教育センター 兼任) 相田 慎 助 教 計算量理論、アルゴリズム理論 中井 雄士 助 教 情報セキュリティ、暗号理論 【データ情報学分野(Data Informatics)】 氏 名 職 名 専門分野 北岡 教英 教 授 音声情報処理 土屋 雅稔 教 授 自然言語処理 秋葉 友良 教 授 音声言語処理、自然言語処理、情報検索 渡辺 一帆 教 授 統計的学習理論、機械学習 西村 良太 准 教 授 音声知能システム 若林 佑幸 助 教 音響信号処理 青野 雅樹 特任教授 データサイエンス、情報検索(特に3D検索、画像検索、映像検索)、深層学習、テキストマイニング 【ヒューマン・ブレイン情報学分野(Human & Brain Informatics)】 氏 名 職 名 専門分野 中内 茂樹 教 授 視覚認知情報学、視覚技術 北崎 充晃 教 授 知覚心理学、認知神経科学、バーチャルリアリティ 南 哲人 教 授 認知神経科学 松井 淑恵 教 授 聴覚心理学、音楽心理学、演奏科学(エレクトロニクス先端融合研究所 兼任) 福村 直博 教 授 計算論的神経科学 村越 一支 准 教 授 計算知能、神経情報科学 上原一将 准 教 授 神経科学、神経工学 杉本 俊二 助 教 神経科学 日根 恭子 助 教 認知科学、視覚科学 田村 秀希 助 教 視覚科学、感性情報学 【メディア・ロボット情報学分野(Media Informatics & Robotics)】 氏 名 職 名 専門分野 栗山 繁 教 授 モーション・メディアとグラフィックス、モーションデータの生成と解析、AIに基づく画像メディアの生成 三浦 純 教 授 知能ロボティクス、ロボットビジョン、人工知能 垣内 洋平 教 授 ロボットシステム、ヒューマノイドロボット(エレクトロニクス先端融合研究所 兼任) 金澤 靖 准教授 コンピュータビジョン、画像処理 菅谷 保之 准 教 授 コンピュータビジョン 大村 廉 准教授 ユビキタス・コンピューティング、ウェアラブル・コンピューティング、分散システム、オペレーティング・システム 林 宏太郎 助 教 ヒューマン・ロボットインタラクション、認知科学、社会学 【事務関係】 事務職員:中井 絃余(C棟事務室) 佐藤 静香(F棟事務室) 山本 沙愛(F棟事務室) 【技術職員】 技術職員:小西 和孝 【学生現員】 学 部:1年次 24名、2年次 36名、3年次 124名、4年次 129名 博士前期:1年次 107名、2年次 103名 博士後期:24名
2026年 第43号 TUT 同窓会報 15 2025 年 4 月に着任いたしました西村良太と申します。三重県出身で、鈴鹿工業高等専 門学校を卒業後、豊橋技術科学大学に3年次編入し、博士後期課程までの7年と9ヶ月 を本学で過ごしました。専門は音声対話システムで、音声言語情報処理や音声認識の技 術を基盤に、人とコンピュータがより自然で楽しく対話できる仕組みの実現に取り組ん でいます。具体的には、発話のタイミング、声の高さ・強さ・速さといった韻律情報の 制御モデルを構築し、相槌やターンテイキングを含む会話の流れを滑らかにする研究を 進めています。さらに、これらを統合して動かす分散型リアルタイム音声対話システム 基盤を開発し、学内外の研究者や学生が活用できるようオープンソースとして公開しています。 学位取得後は学外で研究と教育に携わり、約 15 年ぶりに本学へ戻ってまいりました。豊橋の町並みやキャンパ スはより美しく洗練されましたが、学生のバイタリティは当時と変わらず力強く、挑戦を楽しむ気風に心強さを 覚えます。これからは、学生と共に試行錯誤を楽しみ、互いのやる気を相互に加速させながら、私自身も成長し、 情報・知能工学系および本学全体の発展に貢献してまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。 情報・知能工学系 准教授 西村 良太
〈弱いロボット〉の数々。みなさんの推しロボットは? 16 2026年 第43号 TUT 同窓会報 みなさんは、「弱いロボット」という言葉をご存じで しょうか?「えっ、弱いロボット!?」「どうしてロボッ トが弱いの?」「暮らしに役立ってくれるのがロボット であり、弱くちゃダメなんじゃないの?」と、いろい ろな感想を抱かれることでしょう。この〈弱いロボット〉 の代表例は、自らではゴミを拾えないものの、まわり の手助けを上手に引き出しながら、ちゃっかりゴミを 拾い集めてしまう〈ゴミ箱ロボット〉です。このアイ ディアは約 20 年前に、愛知県で開催された「愛・地球 博」でのプロトタイプロボット展への応募の際に生ま れました。「地球環境のために、こんな〈ゴミ箱ロボッ ト〉はどうか!」と意気込んで応募したものの、あえ なく書類審査でボツに! 当時の審査員(ロボット研究 者たち)から見たら、「子どもの手助けがないとゴミを 拾い集められないロボットなんて、ロボットとはいえ ないのでは?」「もっと未来志向の技術を提案してよ!」 ということだったようです。 落選後は、しばらくは意気消沈していました。とこ ろが数年後、縁があって豊橋技術科学大学にお世話に なることに。ここは全国の高専等で腕を磨いてきたロ ボコンの強者 ( つわもの ) たちの巣窟でした。わたした ちの研究室 (ICD-LAB) に集まってきた学生たちの技術 力と遊び心、そしてデザイン力が「半端ない!」のです。 それから19年間、何気ない雑談の中から30タイプを 超えるくらいの〈弱いロボット〉たちを生み出してき ました。「アームを取り付ける技術もお金もないのなら、 子どもたちの〈手〉を借りてしまったらどうか…」など、 あり合わせの部品をかき集め、いろんな制約も味方に つけながら、それぞれの学生さんたちの得意なワザを 持ち寄り、みんなでワイワイ・ガヤガヤと一つひとつ のロボットを企画・立案し、仕上げていく。このブリ コラージュ・スタイルでのモノづくりがユニークな〈弱 いロボット〉たちを生み出すコツだったようです。 とてもありがたいことに、いまでは小学校5年生の 国語教科書 ( 東京書籍 ) や中学校の英語教科書 ( 光村図 書)、高校の現代国語(第一学習社)や英語教科書(三 省堂)などに、わたしたちの〈弱いロボット〉の話題 が教材文として掲載されています。〈弱いロボット〉の 不完全なところや弱さは、まわりの人の主体性や創造 性を奪うことなく、むしろ引き出してくれる。お互い の主体性を奪うことなく、ゆるく依存しあう、そんな コンビビアルな ( 自立共生的な・共愉的な ) かかわりを 生み出す上でのキーアイディアとなっていたのです。 こうして振り返ってみると、いろいろな出会いは、 その時その時の「偶然」にすぎません。でも、「あの出 会いがなければ、いまここにはたどり着けなかったは ず!」と、一つひとつの積み重ねが「必然」となって いるのですから、とても不思議なものです。というわ けで、これまでのみなさんとの ( 偶然ともいえる )「出 会い」に感謝いたします。そしてこれからも、わたし どもの〈弱いロボット〉研究はさまざまな出会いを続 けていくことでしょう。引き続き、どうぞよろしくお 願いします。 出会うは偶然、出会ってからは必然! 情報・知能工学系 教授 岡田 美智男 (おかだ みちお)
2026年 第43号 TUT 同窓会報 17 卒業生・修了生の皆様、いかがお過ごしでしょうか。 本稿では量子情報研究室について簡単に紹介させて いただければと思います。 量子情報研究室は 2023 年度に新設された研究室で す。博士前期課程の学生1名、学部生3名とまだま だ小さい研究室ですが、ダラルノ准教授の指導のも と日々研究に勤しんでいます。量子情報研究室は、 教授・学生の国籍が多様であり、英語、日本語、各 学生の母国語など様々な言語が聞こえる国際色豊か な研究室です。定期ミーティングの場では一通り英 語で説明を終えた後、わからなかったところを日本 語と英語を混ぜながら質問したり、各々のひとり言 は母国語だったりと少々カオスな雰囲気になったり もします。 量子情報研究室ではその名の通り、量子情報科学 や量子基礎論に関連したテーマで研究を行っていま す。現在扱っているトピックは、signaling dimension とquantum guessworkの二つです。 Signaling dimensionは量子基礎論のトピックで、 一般確率論のシステムの古典シミュレーションコス トや能力を議論しています。最終的には一般確率論 のシステムと量子・古典システムとの比較により、 量子・古典システムのみが理想的なシステムである と証明することを目的としています。 Quantum guessworkでは、量子ビットに測定を 行った結果を用いて、少ない質問クエリ数で入力の 量子状態を当てることを考えます。古典の場合では 入力の確率分布に従い確率が高い順に質問していく のが最適となりますが、量子の場合ではそうとは限 りません。本トピックでは測定により最適な質問順 を得ること、またその測定の構築を議論しています。 本研究室では理論的な証明以外にも、コンピュー ターによる各トピックのインスタンスの計算も行っ ています。どちらのトピックも入力が大きくなるに つれ、計算量が指数や階乗のオーダーで増えていき ます。特にquantum guessworkでは、その計算に NP 困難とされる二次割当問題を含んでいます。組み 合わせ最適化など、量子情報の知識だけでなく古典 情報の知識も活用して研究を行っているのも量子情 報研究室の特徴の一つです。 研究成果の発表にも取り組んでおり、積極的に学 会参加、口頭・ポスターでの発表を行っています。 また、2024 年の 2 月には国際ワークショップを主催 し、今後も開催していきたいと考えています。量子 情報分野の学会には物理系や数学系からの参加者が 多く、普段学内では関わることができない方々との 交流はとてもよい刺激になりました。 最後になりましたが、卒業生・修了生の皆様の益々 のご健勝とご活躍をお祈りしたしまして量子情報研 究室の近況報告とさせていただきます。さらなる発 展が期待される量子情報の分野と、豊橋技術科学大 学の発展に寄与できるよう、今後も量子情報研究室 全員で頑張っていきたいと思います。 量子情報研究室の近況報告 修士1年 甲斐 主陸
18 2026年 第43号 TUT 同窓会報 情報・ロボットシステム研究室は、「ロボットを便 利に、身近に、簡単に」を合言葉に、ロボット技術 と情報処理を統合し、豊かな未来社会に貢献するロ ボットシステムの創出を目指しています。本研究室 の特徴は,名称にもある「システム化」にあります。 ロボット技術を単体の理論として扱うのではなく、 多様な要素が組み合わさった大きなシステムの一部 として捉え、自分の研究している理論がシステムの どこで役立つかを意識しながら、周辺を含む関連技 術まで学べる点が特徴です。 当研究室は、2022年の4月に発足した比較的 に新しい研究室で、現在教員 2 名(垣内教授・増沢 助手)に加え、学生は博士後期課程学生 2 名、修士 課程学生 9 名、学部学生 5 名の体制で研究活動を 行っています 。 研究内容については現在、大きく3つのテーマで 研究を進めています。 (1)ロボットプログラム基盤を用いた教育・研究基盤と ロボットシステム構築環境 様々なロボットを同じ言語・使用方法によってプログラ ムできる環境を核とする「ロボットプログラム基盤」の 構築を行っています 。 (2)多自由度運動体の全体システム・運動制御・認識知能 多数の関節をもつロボット(人間に近い身体構造をもつ ヒューマノイドロボットや不整地踏破能力の高い脚ロ ボット)の運動と知能のシステム化を研究しています 。 (3)社会実装を志向したロボットシステム ホームロボットに代表される、人々の生活を豊かにする 新たなロボット応用について、深層学習を活用しなが ら、非専門家でもロボットを便利に簡単に使えるシステ ムのあり方を探求しています。 研究室の雰囲気としては学生同士・教員との距 離が近いのが特徴だと感じます 。学年やテーマの 違いに関わらず気軽に声をかけ合える空気があり、 困ったことがあればすぐに相談できるため、一人 で抱え込まずに研究を進められる環境です。毎週、 homerobot / humanoid /組み立てロボットの各グ ループミーティングと全体ミーティングを通じて進 捗共有と議論を行い、新入生歓迎会や中間発表お疲 れ様会などのイベントも定期的に実施しています。 こうした「顔の見える」つながりが、研究の推進力 にもなっています。 学外とのかかわりについては、当研究室で開発し たロボットシステム構築環境を教材とし、組立式ロ ボットを実際に構築する体験型プログラムを提供し ています。とくに高等専門学校(高専)との連携を 重視し、高専生向け体験実習を 4 年連続で受け入れ ており、2025 年夏には 11 名の学生が参加しました。 同様のプログラムは、学内の研究室配属前学生向 け演習としても実施しており、共通の「ロボットプ ログラム基盤」を通じて教育から研究へのスムーズ な移行を支えています。コードや教材は GitHub や 講義サイトで公開し、学外授業や共同研究にも活用 できる“開かれた基盤”として発信を続けています。 情報・ロボットシステム研究室の近況報告 M1 福島 知樹
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