同窓会報No.42

第42号 2025 豊橋技術科学大学同窓会 No.42 2025

2025年 第42号 TUT 同窓会報 1 豊橋技術科学大学同窓会の皆様方におかれましては、常日頃より同窓会活動にご理解とご協力を賜り、誠にありがと うございます。 昨年初めに大地震のあった能登地方は、その後の集中豪雨の被害や余震などの心傷めるニュースが続いています。心 からお見舞いを申し上げます。一方、アメリカではトランプ大統領が就任、国内では昨年の衆議院選挙で自民・公民の 与党が半数割れ。世界、国内で様々な変化が起こる中、同窓生の皆様には奮闘されていることと思います。 大変残念なお知らせとして、昨年 5 月に学長であった寺嶋一彦先生がご逝去されました。寺嶋前学長は、コロナ禍の 中でも学生へのエールとして「学長講話シリーズ」を発信するなど、熱い情熱(寺嶋前学長は「パッション!」と仰って いました)を持って、学生や同窓会に向き合っていただきました。これらの多くのことに感謝し、ご冥福をお祈りしたい と思います。また、この1月より新学長として就任された若原昭浩先生とも、同窓会活動にはご協力をいただきながら進 めていきたいと考えています。 同窓会にとって明るいニュースは、昨年6月に行われた「NHK学生ロボコン全国大会」で我が技科大が3年連続の 優勝!!その後のベトナムで開催された世界大会ABUロボコン2024では、残念ながら2023年に続く連覇とはならなかっ たものの、後輩たちの活躍は大変嬉しいニュースとなりました。「あっぱれ!!!」です。 聞くところによると、全国大会で優勝した後の世界大会に向けて準備をする中、全国大会でライバルであった他の大 学が惜しむことなく技術提供をしてくれたとのこと。自らのことを越えて互いに技術を高め合おうとする他大学の姿勢に 「あっぱれ!!!」。ロボコンを通じて学生たちの将来のネットワークが築かれたことと思います。 同窓会活動としては、2023年秋号を初号に配信を始めた季報「技科大の顔」は、多くの卒業生のご協力を得て、 2025 年冬号まで配信できました。初号から数えて 6 号、延べ 120 名の卒業生の活動と母校への想いが伝わる良い企画 になりました。ご執筆いただいた皆様、とりまとめをいただいている先生、在学生の皆様に感謝しています。皆様にお かれましても季報「技科大の顔」、是非、ご一読い下さい。 この他にも例年継続している優秀な学部卒業生への「同窓会会長賞」の授与、「学生課外活動支援」の他、好評をい ただいている食堂での「めざましごはんプレミアム」や「同窓会カレー」への経費支援など、学生の健康、学びや研究 の糧となる支援を行っています。 また、同窓生を対象とした懇親会やパーティー等の交流活動への助成は、少しずつですが申請が増えています。建設 工学系の同窓生の申請が多く、これは建設工学系の関西支部同窓会に参加したメンバーから口コミで広がっているので はと推察しています。是非、この助成を活用された皆様からも口コミで多くの同窓生にお伝えいただき、同窓生が集まる 場にこの助成をご活用いただければ幸いです。 さて、1976 年に設立した母校は 2026 年 10 月に 50 周年を迎えます。大学では開学 50 周年記念事業を予定されていて、 同窓会もこれを機に同窓生の皆様の結束を強める活動を行いたいと考えています。 これからも同窓会が同窓生の力を合わせるプラットホームとなれるよう、皆様のご活躍を祈念すると共に、今後も同窓 会活動へのご協力・ご理解を深くお願いして、挨拶に代えさせて頂きます。 同 窓 会 会 長 挨 拶 同窓生が力合わせるプラットホームを目指して 旧6系(建設工学系)4期生 若林 亮 <株式会社日建設計 デザインフェロー>

2 2025年 第42号 TUT 同窓会報 NHK学生ロボコン優勝・ABU 2024シーズン ロボコン同好会代表 宮下 功誠 豊橋技術科学大学同窓会の皆様、こ の度はABUロボコン出場に際し、と よはし☆ロボコンズへの多大なるご支 援と温かい応援を賜り、誠にありがと うございました。同窓会の皆様からの ご支援のおかげで、私たちは本年度も ABUロボコンに出場し、多くの成果 を収めることができました。 まず、2024年6月に開催された NHK 学生ロボコン 2024 において、私 たちは大会史上初となる 3 連覇を達成 いたしました。豊橋技術科学大学は 14年前にも大会3連覇のチャンスが ありましたが、惜しくも決勝戦で敗れ ていました。今年のNHK学生ロボコ ン優勝と大会 3 連覇は悲願であり、日 本最強のロボコンチームは豊橋である ことを証明できたと思っています。 続いて、8月にベトナム・クアンニ ン省で開催されたABUアジア・太平 洋ロボットコンテスト2024では、予 選グループを全体で 1 位の成績で突破 し、決勝トーナメントに進出しまし たが、準決勝で香港代表に敗れ、ベス ト 4(3 位)という成績を収めました。 目指していたABUロボコン2連覇に 届かず、悔しい結果が残る大会となりました。それ以外では、私たちのロボットに込められた技術力が高く評価 され、BEST ENGINEERING AWARDを受賞することができました。昨年と比べて競技の難易度が上がり、さ らに各チームのロボットの完成度、技術力が高くなった中で、この賞を受賞できたことはとても嬉しいです。 ここ数年でとよはし☆ロボコンズは、本気で世界一を目指せる日本で数少ないロボコンチームに成長しました。 理想ではなく、現実的な目標として堂々と「私たちは世界一になりたい」と言えるチームになりました。日本で 一番のロボコンをするための環境が整っていると思います。自分たちが恵まれた環境でロボコンをできているこ とに感謝し、豊橋技科大を背負い、これからも世界に挑戦していきます。 最後に、この度は私たちの活動へのご支援と応援に心より感謝申し上げます。今後ともとよはし☆ロボコンズ への変わらぬご支援とご声援を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

Department of Mechanical Engineering 機械工学系 2025年 第42号 TUT 同窓会報 3 同窓会の皆様におか れましては、お元気に ご活躍のこととお慶び 申し上げます。平成22 年4月に学部・大学院 組織を再編して、5つの系と総合教育院において教 育と研究が行われており、旧機械システム工学系(旧 1系)および旧生産システム工学系(旧2系)を統 合した機械工学系(1 系)として活動しております。 機械工学系の組織は、機械・システムデザインコー ス、材料・生産加工コース、システム制御・ロボッ トコース、環境・エネルギーコースの4コースで構 成され、計 15 研究室があります。教員、学生ともに コースに所属する研究室に在籍しております。執筆 時現在(2024.11)、教授 15 名(兼務教員 1 名含む)、 准教授 10 名、助教 11 名の計 36 名の教員が所属して おります。2023 年度末には、薄膜材料研究室の横山 誠二 准教授が定年退職されました。先生の永年にわ たる教育・研究、大学運営へのご貢献に対し心から 感謝いたします。また、省エネルギー工学研究室の 西川原 理仁 助教が名古屋大学の准教授として、環境 エネルギー変換工学研究室の山崎 拓也 助教が弘前大 学の准教授として異動されました。一方、新規採用 により、2024 年 4 月には、材料機能制御研究室に石 井 裕樹 助教、システム工学研究室に堀尾 亮介 助教、 省エネルギー工学研究室に倉石 孝 助教が着任されま した。本年 10 月には、環境エネルギー変換工学研究 室の松木 大輝 助教が着任されました。また、昨年度 よりサバティカルにて海外留学をされていた松岡准 教授が 4 月に、高木教授が 8 月に帰国されました。 総合研究棟の一つであるE1棟に引き続き、概算 要求での施設整備費として承認されたE5棟の改修 が始まりました。本年度末には改修工事も終了しま す。次年度に向けた概算要求では E3 棟の改修要求も しております。また、2020 度以降、教育現場に大き な混乱をもたらした新型コロナウィルス感染症の影 響もひと段落し、授業は対面で行われるようになり、 活気に満ちたキャンパスに戻りつつあります。この ように、1系の研究教育環境は各段の改善がなされ ていることは朗報です。その一方で、これから入学 される方は高専またはより低学年でコロナの影響を 受けた若い世代になります。対面が失われた代償を 引きずらぬよう、今後も一層のケアをしつつ、刷新 された研究教育環境を駆使して学生育成に努めてま いります。本系の学生の活躍については、「機械工学 系公式 X(旧 twitter)」(https://x.com/TUT_kikai) でも配信してゆく予定です。是非とも皆さま、フォ ローをお願いします。 このように、本学・本系を取り巻く環境は留まる ことなく都度変化しておりますが、本系では、今ま で以上に社会に貢献できる教育・研究を行ってまい ります。同窓会の皆様には、引き続きご支援、ご指 導を賜りましたら幸いです。末尾ながら、同窓生の 皆様の益々のご活躍をお祈り申し上げます。 最後になりますが、本学名誉教授でもある寺嶋 一彦学長が本年5月にご逝去されました。先生の永 年にわたる暖かいご指導に感謝するとともに、心か らご冥福をお祈りいたします。 学内近況報告 系長 中村 祐二

4 2025年 第42号 TUT 同窓会報 教職員紹介(令和6年9月現在) 【機械・システムデザインコース】 教 授 河村 庄造、足立 忠晴、柴田 隆行、永井 萌土 准教授 竹市嘉紀 助 教 田尻 大樹、岡本 俊哉 【材料・生産加工コース】 教 授 三浦 博己、小林 正和、戸髙 義一 准 教 授 安井 利明、安部 洋平、大場 洋次郎、足立 望 助 教 Khoo Pei Loon、石井 裕樹 【システム制御・ロボットコース】 教 授 佐藤 海二、内山 直樹、高山 弘太郎、 高木 賢太郎 准 教 授 佐野 滋則、高橋 淳二 助 教 秋月 拓磨、比留田 稔樹、武田 洸晶、堀尾 亮介 【環境・エネルギーコース 】 教 授 飯田 明由、中村 祐二、土井 謙太郎、 横山 博史 准 教 授 鈴木 孝司、関下 信正、松岡 常吉 助 教 岸本 龍典、倉石 孝、松木 大輝

2025年 第42号 TUT 同窓会報 5 このたび、機械工学系システム工学研究室の助教に着任しました堀尾亮介と申し ます。出身は奈良県で、奈良工業高等専門学校を卒業後、本学機械工学課程3年 次に編入し、本学大学院前期課程・後期課程を修了、博士(工学)を取得いたし ました。修了後はシステムインテグレータ企業に就職し、自動車の要求管理シス テムの整備を担当しました。その後は再び研究者を志し、本学未来ビークルシティ リサーチセンターに研究員として着任、「電界結合方式の無線給電」の研究に従事 し、ドローンや自動車への無線給電に関するプロジェクトに携わりました。特に、 社会実装を前提にした実用的なシステムを構築することを意識して研究チームを運営しました。 現在は、「システム工学の観光業への応用」をテーマに研究を進めております。地元が観光地として有名なこと もあり、以前から観光地の運営に興味を持ってきました。自身の専門分野を活かして、観光地の抱える問題の解 消やさらなる発展に資する研究に取り組んでおります。具体的には、モデル予測制御やスケジューリング問題を 応用した観光客の動向予測とガイドアプリ等による案内を通じて、観光地の混雑緩和や運営効率化など、持続可 能な観光地運営の実現を目指しています。 これまでの経験を活かしつつ、新たな研究領域に挑戦し、教育と研究活動を通じて母校の発展に尽力してまい ります。どうぞよろしくお願いいたします。 着任のごあいさつ 機械工学系 助教 堀尾 亮介 機械工学系 助教 松木 大輝 2024 年 8 月付で機械工学系環境エネルギー変換工学研究室の助教に着任いたし ました松木大輝と申します。専門分野は燃焼工学です。私は愛媛県出身で新居浜 高専を卒業した後、本学の第三年次に編入し、博士前期課程および後期課程を本 学で修了しました。博士の学位取得後は、本学において研究員として2年4ヵ月 の間、研究活動に従事してまいりました。 博士後期課程および研究員の期間中は、スポンジ状の固体燃料に液体酸化剤を 浸み込ませたロケット推進剤の基礎研究や、灯油といった液体燃料を高効率かつ クリーンに燃焼させるための燃焼手法・燃焼機器の開発に取り組んでおりました。今後は、基礎研究に注力しな がらも、応用研究にも積極的に取り組み、持続可能なエネルギー利用の実現や環境負荷の低減に向けた取り組み を進めていく所存です。また研究活動を通じて、学生との実験や議論の場を大切にし、学生の主体的な学びを支 援する教育を目指してまいります。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

6 2025年 第42号 TUT 同窓会報 機械工学系 助教 石井 裕樹 2024年4月1日付で機械工学系 材料機能制御研究室(戸髙研究室)の助教に着任い たしました石井裕樹と申します。出身は千葉県南房総市(旧 安房郡三芳村)で、千葉県 立安房高等学校、茨城大学工学部機械工学科、茨城大学大学院理工学研究科機械シス テム工学専攻を経て、2024 年 3月に茨城大学大学院理工学研究科複雑系システム科学 専攻で博士 ( 工学 )を取得後、本学へ着任いたしました。茨城大学には学部1年から博 士2年を早期修了するまで 8 年間在籍しており、茨城県水戸市(学部1年)、同日立市(学 部2年以降)で生活しておりました。当時の指導教員である倉本繁教授をはじめ、伊藤 吾朗名誉教授、小林純也准教授、大阪大学 堀川敬太郎准教授のご指導の元、アルミニ ウム合金の高強度・高延性化と耐水素脆性抑制のための組織制御法に関する研究を行って参りました。本学では、材料 機能制御研究室の戸髙義一教授、足立望准教授、安部洋平准教授のご指導の元、金属材料の力学特性、組織制御、塑 性加工等に関する研究に従事させていただいております。茨城大学ではアルミニウム合金を専門としておりましたが、4 月からは鉄鋼材料、チタン合金、金属ガラス等へも対象を広げております。所属する材料機能制御研究室は、機械工学 系の中でも歴史のある研究室であり、これまでに梅本実名誉教授、土谷浩一先生(物質・材料研究機構 若手国際センター センター長、筑波大学 名誉連携教授)がおられた歴史もあることから、身の引き締まる思いで着任させていただきました。 生まれから大学院まで関東地方で生活しており、博士課程修了後に東海地方(豊橋・東三河)で生活するとは予想して おりませんでしたが、様々な文化に触れることができ、日々楽しく生活しております。これまでにご指導いただいてきた皆 様方の存在があってこそ、豊橋での良縁に恵まれたと痛感しております。若輩者ではございますが、教育・研究の双方に 専念して参る所存でございます。末筆ではございますが、今後ともご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。 このたび、省エネルギー工学研究室の助教として着任いたしました倉石孝と申 します。出身は千葉県で、高校卒業後に早稲田大学へ入学し、創造理工学研究科 にて博士前期・後期課程を修了、博士(工学)を取得いたしました。修了後は1 年間同大学で研究員として勤務し、その後ライス大学にて約4年間ポスドク研究 員として研究活動に従事してまいりました。 専門は数値流体力学で、主にタイヤまわりの空気の流れを対象に研究を行って おります。タイヤは走行中に常に回転し、荷重による変形も生じるため、接地面 近傍での形状変化が流れ場に与える影響を把握することが、設計開発の上で非常に重要です。私は数値解析を用 いて、実形状のタイヤまわりの空気の流れ場を捉える研究に取り組んできました。具体的には、タイヤ単体を対 象とした流体解析から着手し、路面の粗さを考慮したモデルや車体全体を含む流体解析へと段階的に研究を発展 させてきました。 今後は、本学の省エネルギー工学研究室の一員として、これまでの知見と技術をさらに深め、タイヤのみなら ずより広い分野へ貢献できるよう努力していく所存です。 機械工学系 助教 倉石 孝

研究室だより機械工学系 2025年 第42号 TUT 同窓会報 7 の開発です。特に力を入れているのが「ハイスルー プット」という技術です。これは一度にたくさんの 細胞を調べたり扱ったりする便利な方法です。この 技術は、新しい薬を作ったり、細胞を使った治療に 役立ったりします。単一細胞を流す小さな装置を使っ て細胞を育てたり、光を使って細胞の中に物を入れ たりする研究をしています。藻類を使ったドラッグ デリバリーも取り組んでいます。また機械学習を使っ て、細胞を認識する技術も開発しています。これら の研究では、生命の仕組みを理解し、病気の治療に 役立てることを目指しています。 研究室を卒業した学生たちは、半導体や医療機器 の会社で働くことが多くなっています。私たちの研 究が、今の社会で必要とされていることを感じさせ られます。卒業生たちは、研究室で学んだ技術や考 え方を活かし、おのおのの場所で活躍しています。 私たちの研究室は、新しい仲間をいつでも歓迎する 開かれた場所です。詳しい研究の内容や活動は、研 究室のホームページ ¹ や Researchmap² でご覧いた だけます。研究室に興味を持った同窓生の皆さんは、 ぜひ遊びに来てください。 1 研究室HP:https://hmn.me.tut.ac.jp/ 2 Researchmap:https://researchmap.jp/moeto 豊橋技術科学大学のハイスループットマイクロ・ ナノ工学研究室は、2022 年に始まったばかりの新し い研究室です。私は前にマイクロ・ナノ機械システ ム研究室にいて、そこから独立して新しい研究室が できました。まだ新しい研究室ですが、今では学部 生から博士の学生まで合わせて 31 名もの学生がいま す。そのうち 13 名が外国からの留学生で、国際的な 雰囲気の研究室に育ってきました。彼らは、それぞ れの国の文化や考え方を持ち込み、研究室に新しい 風を吹き込んでくれています。 研究室の雰囲気は自由で、学生が自分で考えて行 動することを大切にしています。英語でも発表する ことで、日本人学生と留学生が一緒に学び、話し合っ てお互いの考え方を理解し、世界を広く見られる目 を養っています。このような環境で学生たちは各研 究テーマに取り組み、世界中の仲間と意見を交換し て成長しています。 私たちの研究室は、マイクロ・ナノ機械システム 研究室とも仲良く協力しています。一緒に輪講をし たり、学生の部屋や実験室を共有したりしています。 次世代半導体・センサ科学研究所も一緒に使えるの で、研究を進めるのに便利です。 研究の中心は、細胞を使ったマイクロ・ナノ技術 ハイスループットマイクロ・ナノ工学研究室の近況報告 教授 永井 萌土

8 2025年 第42号 TUT 同窓会報 上に関する研究も行っており、幅広い研究領域に注 力しております。研究室に安部先生が加わって間も ないため、それぞれのテーマごとに担当教員が分か れており、現状として材料組織制御と塑性変形制御 を包含した研究については日が浅いですが、今後は これらの領域をさらに融合させた研究体制への移行 を計画しています。このように、材料科学の基礎か ら応用に至るまで、多様な視点から課題にアプロー チすることで、産業や社会に貢献する新たな知見と 技術の創出を目指しています。 大学内における生活では、本研究室の学生・教員 は研究のみならず、大学のイベントへの参加にも積 極的です。最近では、学友会主催の駅伝大会に参加し、 修士1年と修士2年の学生がそれぞれチームを組み 参加しました。(写真2)惜しくも修士2年チームは 4位、修士1年チームは8位の結果となりましたが、 来年こそは入賞しようとリベンジに向け、トレーニ ングに励んでいます。 卒業生ならびに修了生の皆様におかれましては、 大学の近くに立ち寄る機会がございましたら、ぜひ 研究室にもお立ち寄りいただければと存じます。心 よりお待ちしております。末尾ながら、皆さまのご 健勝とご多幸を祈念申し上げます。 卒業生、修了生の皆様、いかがお過ごしでしょうか。 皆様におかれましては、益々ご活躍のこととお慶び 申し上げます。 「材料機能制御研究室」は、戸髙義一教授、足立 望准教授、そして昨年度から極限成形システム研究 室を率いていた安部洋平准教授と、今年度から新た に石井裕樹助教が加わり、4名の先生のご指導のも と、運営されています。研究室のメンバーは、教員 4名、秘書 1 名、博士学生 2 名、修士学生 19 名、学 部学生11名、特別研究学生1名の合計で38名の大 所帯です。(写真1)このメンバーの中には、中国、 ベトナム、メキシコからの留学生も含まれ、国際色 豊かな面々となっています。留学生と日本人学生の 間には、お互いに言語の壁がありますが、研究や歓 迎会、食事などを通して積極的にコミュニケーショ ンをとり、一人一人が協力し切磋琢磨し合いながら、 日々研究に取り組んでおります。 本研究室では、加工プロセスを利用したマルチス ケールな材料組織制御、および、そのための合金設 計を駆使し、鉄鋼材料などの構造材料からエネルギー 変換材料の機能材料における特性・機能の高度化や 新規材料の創製に関する研究を行っています。また、 それらに加えて、塑性変形制御に基づく成形限界向 材料機能制御研究室の近況報告 博士前期課程1年 外輪 弘太郎

2025年 第42号 TUT 同窓会報 9 振れ制御の研究を行っています。タワークレーンは、 巨大かつ構造的も特殊であり、様々な現象を考慮す る必要があります。現在は、強風などの外乱のオブ ザーバの構築などに携わっています。農業ロボット 分野では、ブルーベリー収穫ロボットの開発を行っ ています。本ロボットは、各果実の状態を把握し、 収穫作業全体の管理を目標としています.福祉ロボッ ト分野では高齢者が日常生活で行う動作を支援する 研究が進められています。肘おきに昇降機構を有し た歩行器型ロボットで起立、歩行、着座の一連の動 作を支援します。少数のセンサを用いて使用者の状 態推定を行い、その結果から、支援を適切に行うこ とに取り組んでいます。使用中に何らかの異常が起 こった場合は、その異常に対して福祉ロボットが適 切に対応できるようにすることにも取り組んでいま す。また、適切なコミュニケーションによって直接、 体に触れるロボットであっても不安感なく使用でき ることを目指しています。前回の同窓会報では問題 となっていたコロナウィルスによる制限も解け、学 内、研修室にも活気が戻ってきており、今後もより 一層の努力と研鑽に励む所存です。最後になりまし たが、卒業生・修了生の皆様の益々のご活躍をお祈 り申し上げます。 卒業生・修了生の皆様におかれましては、ますま すご健勝のことと存じます。現在ロボティクス・メ カトロニクス研究室では佐藤 海二教授、佐野 滋則准 教授、武田 洸晶助教の下、修士2年8名、修士1年 9名、学部4年8名が日々様々な研究に励んでおり ます。本研究室では、精密メカトロニクス・ロボット、 建設分野、農業ロボット、福祉ロボット、およびそ の要素技術の研究に取り組んでいます。精密メカト ロニクス分野では、機械・アクチュエータ技術と計 測制御技術を融合し、実用性を重視した高い利便性 と高性能を両立するメカトロニクス・ロボットの研 究や、感温磁性体とレーザ、永久磁石を組み合わせ たアクチュエータ・小型マニピュレータシステムの 開発を行っています。感温磁性体は温度変化によっ て磁気特性が変化する材料で、これを用いることで 簡易な構造で、完全ワイヤレスで駆動・制御可能な アクチュエータを構成できます。そしてこの特性を 利用した小型マニピュレータシステムの実現を目指 しています。建設分野では、ベルトによって壁面に 吊り下げられる壁面昇降ロボットの開発を行ってい ます。本ロボットは、多くが高所作業で危険を伴う 建築物外壁面作業を人の代わりに行い、安全性の向 上を目標にしています。また、タワークレーンの荷 ロボティクス・メカトロニクス研究室の近況報告 修士2年 今野 麟太郎

10 2025年 第42号 TUT 同窓会報 組んでいます。4つ目は、流体の蒸発潜熱と多孔体 の毛細管力を利用した熱輸送デバイスであるループ ヒートパイプ(LHP)の研究です。宇宙機の熱制御 にも利用される LHP の高性能化や太陽熱を利用した LHP の開発にも取り組んでおります。 ここ数年はコロナ禍も落ち着きを見せており、自 粛していた活動も再開されています。今年度は修士 2年生2名がオランダで開催された国際会議にて発 表を行いました。また、研究室内の行事として、昨 年度から毎年恒例の研究室旅行を再開し、研究室内 の親睦を深めることができました。 なかなか先の見通せない時代ではありますが、「省 エネルギー」はコロナ後の時代でも変わらない世界 の課題と考え、より一層研究に取り組んでいく所存 です。末筆ながら、卒業生・修了生の皆様の益々の ご活躍を祈念しますと共に、今後とも研究室にご支 援下さいますようお願い申し上げます。 本学卒業生並びに修了生の皆様におかれましては お元気でご活躍のことと存じます。省エネルギー工 学研究室の近況についてご報告申し上げます。2024 年度の本研究室では横山博史教授と今年度着任され た倉石孝助教のもと、博士前期課程10名、学部生8 名が在籍しています。 本研究室では研究室の名称でもある「省エネル ギー」を軸として流体力学、音響学、熱力学に関連 する研究テーマを扱っており、現在大きく分けて4 つのテーマが進行中です。1つ目は、空力音の発生 メカニズムの解明・制御を目的とした研究です。自 動車や新幹線などの輸送機械やファンなどの流体機 械で発生する空力騒音の抑制に取り組んでいます。 また、熱音響効果を利用し、騒音からエネルギーを 回収する研究にも取り組んでいます。2つ目は二酸 化炭素を回収する方法の1つである物理吸着に関す る研究です。最近の研究により物理吸着が音響加振 により促進されることが明らかになっています。3 つ目は、流体内部に電気的な力を作用させ、流体の 輸送や制御を実現する電気流体力学(EHD)に関す る研究です。小型・軽量な流体輸送システムを実現 するため、最適な電極形状・流路形状を実験・数値 解析の両面から調査しています。 またプラズマア クチュエータを用いた流体や空力音の制御にも取り 省エネルギー工学研究室の近況報告 博士前期課程2年 吉岡 進也

Department of Electrical and Electronic Information Engineering 電気・電子情報工学系 2025年 第42号 TUT 同窓会報 11 学内近況報告 准教授 山根 啓輔 ました。また、材料エレクトロニクス分野から助教の 安永弘樹先生が三重大学へ転出されました。一方で、 2024 年 4 月より、情報通信システム分野の助教として Maodudul Hasan先生が着任されました。 以上が電気・電子情報工学系の2023年度の近況報 告になります。さて、2024 年度は大学の世界展開力強 化事業、大学・高専機能強化支援事業に採択されまし た。また、次世代半導体・センサ科学研究所 (IRES2) の拡張(写真)などが進んでおり、本系でも新たな人 材育成、教育研究の取り組みが活性化しております。 今後も本系教職員一同、社会に貢献できる人材育成と 教育研究活動に一層取り組んでまいりますので、同級 生の皆様には変わらぬご支援とご鞭撻をいただければ 幸いです。 卒業生・修了生の皆様におかれましてはいかがお過 ごしでしょうか。 2023 年度も電気・電子情報工学系に 100 名を超える 新しい学生たちが入学・編入してきました。また、教 職員に関するご報告の一つとして、次世代半導体・セ ンサ科学研究所 教授 髙橋 一浩先生が永井科学技術財 団 学術賞を電気・電子情報工学系 助教 引間 和浩先 生が田川記念固体化学奨励賞を受賞しました。 この他 にも、多数の教員・学生が研究に関わる賞を受賞して おります。本系研究者・学生の活躍を謹んでご報告さ せていただきます。 次に、2023年度の先生方の異動についてご報告さ せていただきます。まず、2024年3月末をもちまし て服部敏明先生がご定年により退職されました。機能 電気システム分野から講師の針谷達先生が岐阜大学 へ、同分野助教の坂東隆宏先生が民間企業へ転出され 次世代半導体・センサ科学研究所(IRES2)の拡張の様子 (写真は飛沢健 氏提供)

12 2025年 第42号 TUT 同窓会報 教職員紹介(令和6年12月31日 現在) 【材料エレクトロニクス分野】 教 授 松田 厚範、内田 裕久、八井 崇、服部 敏明、 武藤 浩行*1 、Lim Pang Boey*2 准 教 授 中村 雄一、河村 剛、加藤 亮*3、勝見 亮太 助 教 引間 和浩 【機能電気システム分野】 教 授 滝川 浩史、稲田 亮史、村上 義信 准 教 授 川島 朋裕、東城 友都 【集積電子システム分野】 教 授 澤田 和明、石川 靖彦、岡田 浩*1、河野 剛士*4 高橋 一浩*4 准 教 授 関口 寛人、山根 啓輔、崔 容俊、野田 俊彦*4 助 教 Piedra Lorenzana José Alberto 特 任 助 教 土井 英生 【情報通信システム分野】 教 授 市川 周一、上原 秀幸、田村 昌也、市坪 誠*5 准 教 授 竹内 啓悟、Xun Shao、羽賀 望 助 教 小松 和暉、Maodudul Hasan 【研究推進課技術支援係】 技術専門職員 日比 美彦、飛沢 健、赤井 大輔 *1総合教育院、*2グローバルネットワーク推進センター、 *3教育研究基盤センター、*4次世代半導体・センサ科学研究所 *5高専連携地方創生機構

研究室だより電気・電子情報工学系 2025年 第42号 TUT 同窓会報 13 また、電力分野で磨かれた技術を他分野へ展開す ることも模索しています。誘電液体アクチュエータ の連続動作の評価や、食品のリアルタイム状態診断 など、ロボットや食品分野に活動を拡げています。 2024年度は、コロナ渦の影響が完全に消え去り、 研究室の行事も活発に行える状態になりました。名 古屋大学の栗本宗明准教授、九州工業大学の小迫雅 裕教授との研究交流会を開催し、学生が日頃の研究 成果を議論できる場を設けることができました。ま た、研究以外では、夏休みのゼミ合宿も開催し、親 睦を深めることができました。 ご多忙と存じますが、豊橋方面に来られる機会が ありましたらお気軽に研究室にお立ち寄り下さい。 研究室一同、心から歓迎いたします。最後になりま したが、諸先輩方の更なるご活躍とご健康を心より お祈りしております。 卒業生・修了生の皆様方におかれましては、ます ますご健勝のことと存じます。 本研究室「高電圧応用・計測工学研究室」は、川 島が2024年4月より准教授に昇任したことを機に、 主宰することになった新しい研究室です。その母体 は、開学当時からの歴史が古い研究室であり、小崎 正光教授、長尾雅行教授、穂積直裕教授、村上義信 教授(現在、本研究室と一部研究テーマを共同で実 施。)によって発展してきた、高電圧工学の研究室で す。現在、博士前期課程 1 名、学部 4 名の 5 名で日々 研究に励んでおります。 本研究室のキーワードは、研究室名にも含まれる 「計測」にあります。特に力を入れているテーマは、 高電圧絶縁システムを対象とした、非破壊計測技術 による状態診断の開発です。放電信号の特徴量を時 系列解析することで、単純な大小比較による材料の 良し悪しの評価だけでなく、高電圧絶縁システムの 状態を電気的な物理量で定量化することを目指して います。 高電圧応用・計測研究室(川島研究室)の近況報告 准教授 川島 朋裕 栗本宗明准教授との研究交流会 ゼミ合宿で訪れた上高地

Department of Computer Science and Engineering 情報・知能工学系 14 2025年 第42号 TUT 同窓会報 学内近況報告 系長 南 哲人 よりより多くの学生が最先端の教育を受けられる環境 が整えられます。 国際教育に関しても新たな進展がありました。2020 年に開始された「近未来クロスリアリティ技術を牽 引する光イメージング情報学国際修士プログラム (IMLEX)」は、2024 年 7 月にエラスムス+プログラム に採択されました。IMLEX プログラムには、東フィン ランド大学、フランスのジャン・モネ大学、ベルギー のKUルーヴェン大学、そして本学がフルパートナー として参加しています。本学がフルパートナーとして 参加していることで、教育および研究の中心的な役割 を果たし、プログラムの発展に大きく寄与しています。 これにより、2025 年からは新たな体制で IMLEX プロ グラムを運営していくことになります。 最後に、全学的な話となりますが、次世代研究者挑 戦的研究プログラム(SPRING)に採択され、博士課 程学生への支援が進んでいます。また、社会人博士へ のサポート体制も充実させ、長期履修制度の導入や、 オンラインを活用した研究指導など、働きながら学べ る環境の整備も進んできております。同窓生の皆様に おかれましても、職場の同僚やご友人で、社会人ドク ター取得に興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、 ぜひ豊橋技術科学大学情報・知能工学専攻をご紹介い ただければ幸いです。 同窓生のみなさまには、ますますご健勝のこととお 喜び申し上げます。 生成AIの技術はこの一年でめまぐるしい進化を遂 げ、社会や産業界に大きな影響を与えています。それ に伴い、今年度のノーベル物理学賞は、人工ニューラ ルネットワークによる機械学習を可能にした基礎的発 見と発明に対する業績に対して、米プリンストン大学 のジョン・ホップフィールド氏、カナダトロント大学の ジェフリー・ヒントン氏の両氏に授与されました。また、 ノーベル化学賞は、コンピューターを用いたタンパク 質の設計と構造予測の功績で、米ワシントン大学のデ イヴィッド・ベイカー氏、英国Google DeepMindのデ ミス・ハサビス氏とジョン・ジャンパー氏に授与されま した。このような状況の中、情報工学への関心や人気 も一層高まり、分野としての発展も目覚ましいものがあ ります。しかし、私たちはその発展に慢心することなく、 教育および研究を着実に進めていく所存です。時代の 変化は加速度的であり、情報工学の定義そのものも時 代に合わせてアップデートし続ける必要があります。 本年度も教員の異動がありました。まず、渡辺 一帆 先生が新たに教授に昇進されました。また、2024 年度 をもって梅村 恭司先生、藤戸 敏弘先生、そして河合 和久先生の3 名が退職されました。いずれの先生も本 学において長年にわたり教育と研究に貢献され、多く の卒業生が学術界や産業界で広く活躍しています。 教育プログラムについては、本学が「大学・高専機 能強化支援事業」に選定されました。この支援事業に より、情報・知能工学系の修士課程の定員が15名増 加することとなり、教育と研究の両面でさらなる機能 強化を図ることを目的としています。本学の取り組み が評価された結果として選ばれたものであり、これに

2025年 第42号 TUT 同窓会報 15 教職員一覧及び学生現員(2024年10月現在) 【計算機数理科学分野(Computer & Mathematical Sciences)】 氏 名 職 名 専門分野 鈴木 幸太郎 教 授 情報セキュリティ 川端 明生 教 授 スイッチングシステム、並列分散処理システム、ネットワークアーキテクチャ、ネットワーク品質 後藤 仁志 教 授 計算化学、ハイパフォーマンスコンピューティング(情報メディア基盤センター 兼任) 栗田 典之 准 教 授 量子生物学、計算科学、生命情報科学 佐藤 幸紀 准 教 授 計算機アーキテクチャ、計算機システム、ソフトウェア性能工学 ダラルノミケレ 准 教 授 量子情報 五十幡 康弘 准 教 授 計算化学、量子化学、理論化学(情報メディア基盤センター 兼任) 中村 純哉 准 教 授 分散アルゴリズム、分散システム、耐故障(情報メディア基盤センター 兼任) 原田 耕治 准 教 授 理論生物学、複雑系(IT活用教育センター 兼任) 相田 慎 助 教 計算量理論、アルゴリズム理論 中井 雄士 助 教 情報セキュリティ、暗号理論 【データ情報学分野(Data Informatics)】 氏 名 職 名 専門分野 北岡 教英 教 授 音声情報処理 土屋 雅稔 教 授 自然言語処理 渡辺 一帆 教 授 統計的学習理論、機械学習 秋葉 友良 准 教 授 音声言語処理、自然言語処理、情報検索 若林 佑幸 助 教 音響信号処理 青野 雅樹 特任教授 データサイエンス、情報検索(特に3D検索、画像検索、映像検索)、深層学習、テキストマイニング 浅川 徹也 特任助教 深層学習、情報検索、異常検知 【ヒューマン・ブレイン情報学分野(Human & Brain Informatics)】 氏 名 職 名 専門分野 中内 茂樹 教 授 視覚認知情報学、視覚技術 北崎 充晃 教 授 知覚心理学、認知神経科学、バーチャルリアリティ 南 哲人 教 授 認知神経科学 松井 淑恵 教 授 聴覚心理学、音楽心理学、演奏科学(次世代半導体・センサ科学研究所 兼任) 福村 直博 准 教 授 計算論的神経科学 村越 一支 准 教 授 計算知能、神経情報科学 上原 一将 准教授 神経科学、神経工学 鯉田 孝和 准 教 授 神経科学(次世代半導体・センサ科学研究所 兼任) 杉本 俊二 助 教 神経科学 上田 祥代 助 教 知覚心理学、認知科学 日根 恭子 助 教 認知科学、視覚科学 田村 秀希 助 教 視覚科学、感性情報学 【メディア・ロボット情報学分野(Media Informatics & Robotics)】 氏 名 職 名 専門分野 岡田 美智男 教 授 コミュニケーションの認知科学、社会的ロボティクス、ヒューマン・ロボットインタラクション 栗山 繁 教 授 モーション・メディアとグラフィックス、モーションデータの生成と解析、AIに基づく画像メディアの生成 三浦 純 教 授 知能ロボティクス、ロボットビジョン、人工知能 垣内 洋平 教 授 ロボットシステム、ヒューマノイドロボット(エレクトロニクス先端融合研究所 兼任) 金澤 靖 准教授 コンピュータビジョン、画像処理 菅谷 保之 准 教 授 コンピュータビジョン 大村 廉 准教授 ユビキタス・コンピューティング、ウェアラブル・コンピューティング、分散システム、オペレーティング・システム 長谷川 孔明 助 教 ヒューマンエージェントインタラクション、社会的ロボティクス、インタラクションデザイン 林 宏太郎 助 教 ヒューマン・ロボットインタラクション、認知科学、社会学 顧 淳祉 助 教 視覚情報処理、パターン認識、深層学習 【事務関係】 事務職員:中井 絃余(C棟事務室) 佐藤 静香(F棟事務室)、滝川 陽子(F棟事務室) 技術職員:小西 和孝 【学生現員】 学 部:1年次 33名、2年次 31名、3年次 124名、4年次 121名 博士前期:1年次 92名、2年次 107名 博士後期:21名

18 2025年 第42号 TUT 同窓会報 私が広島大学、名古屋大学 を経て本学に着任したのは 2004年9月、今から19年半 前になります。 研究会で一度訪れたことは あるものの、初めて経験する 単科大学、技科大のことを、 その成り立ちも含めよく知らず、着任前の6月平日 昼間に訪れた際、学内にあまり学生を見かけないの が不思議で、「今、学期中ですよね?」と中川先生に 尋ねたところ、「今授業中だからじゃない?」と言わ れ驚いたことをよく覚えています。 この機に本学で過ごした 19 年半を改めて振り返っ てみます。 まず研究室、初めて自分で主宰する研究室でした が、多くの先生方や学生達に支えられてようやく幕 を閉じられることに安堵しております。前任の永持 先生時から引き続き残ってくれた石井利昌先生(現 北海道大学教授)、自身初の公募採用で来てもらった 岡本吉央先生(現電気通信大学教授)から始まり、 藤原洋志先生(現信州大学教授)、木村慧先生(現九 州大学准教授)、そして和佐州洋先生(現法政大学准 教授)と、現在我が国の理論計算機科学分野を牽引 する錚々たる先生方には、それぞれの個性を発揮し ながら、学生や私を優しく丁寧に指導・手助けして くださいました。今日の離散最適化研究室の在り様 は、これらの先生方により形作られたものに他あり ません。 教育については、たまたま目にした、元グーグル、 スタンフォード大教授のセバスチアン・スラン氏に よる、Udacity というMOOC 立ち上げの記事に刺激 を受けたことを思い出します。世界的名門大学から 良質の教材が大量に無料で提供され、インターネッ トと英語さえ使えれば、世界中の誰もがどこからで も利用できるという教育のあり方には大いに考えさ せられるものがあり、本学の特色である「らせん型 教育」にも関わらず、むしろ高専の専門カリキュラ ムとの差別化を図るよう講義内容を刷新しました。 一部(?)受講生には負担が大きく不評だったかも しれませんが、情報系のような変化の激しい分野で は致し方ないのではと考えています。 研究については、最初から最後まで、自分の好きな、 いわゆる理論計算機科学を専門分野とさせていただ きました。実学重視の本学において、またアプリケー ション指向の高まる世の潮流の中にあって、一行も プログラムを書かず、計算機実験も行わず、ひたす ら考え続ける、そのような理論研究を許容してくだ さった本学(の懐の深さ)に、(中には嫌々ながら?) 付き合ってくれた研究室学生に感謝します。 また、あまり貢献はできませんでしたが、大学の 管理運営にもある程度携わらせてもらえたのは、本 学が大規模総合大学ではない、そのおかげではなかっ たかと思います。様々な局面で多くの方々、特に情 報・知能工学系(および旧情報工学系)事務、教務課、 入試課の方々には大いに助けていただきました。 最後となりますが、ここに挙げた方々だけでなく、 本当に多くの本学関係者に支えられ、そのおかげで 何とか無事定年を迎えられます。改めて厚く御礼申 し上げます。 退職教員より 情報・知能工学系 教授 藤戸 敏弘

研究室だより情報・知能工学系 16 2025年 第42号 TUT 同窓会報 計算機科学など、様々な側面から課題にアプローチ することで、分散システムの実用性能向上を目指し ています。 また、研究成果の発信にも積極的に取り組んでい ます。今年度も学会への参加や論文投稿を行い、い くつかの発表が高く評価され表彰されました。学会 発表では現地で他大学の学生や研究者と交流を深め、 多くの知見を得ることができました。さらに、現地 の食事や観光も楽しみ、良い気分転換となりました。 こうした成果や交流をモチベーションに、日々の研 究に取り組んでいます。 本研究室では、同じく情報・知能工学系のユビキ タス研究室と合同でミーティングや輪講、発表練習 を行い、互いに刺激を受けながら成長を続けていま す。また、新入生歓迎会や夏の BBQ といったイベン トを通じて、学生同士の親睦を深めています。 最後に、卒業生・修了生の皆様のご健勝と、ます ますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。お近く にお越しの際は、ぜひ研究室へお立ち寄りいただき、 皆様のお話をお聞かせください。研究室一同、皆様 にお会いできることを心より楽しみにしております。 卒業生・修了生の皆様、いかがお過ごしでしょうか。 本稿では、2022 年度に設立された分散システム研 究室について紹介させていただきます。現在、本研 究室では中村准教授の指導のもと、博士前期課程の 学生4名と学部生2名が、分散システムの実用と理 論の両面から日々研究を進めております。分散シス テムは、ネットワークで接続された複数のコンピュー タが協調することで、処理性能や障害耐性の向上を 図る技術です。中でも、本研究室では大きく3つの テーマに取り組んでいます。 (1)耐ビザンチン故障レプリケーション:分散 システムにおいて、一部のコンピュータが故障して も、システム全体は故障の影響を受けずにサービス の継続を可能にするレプリケーション技術です。ア ルゴリズム開発や実装の最適化を通じて、優れた障 害耐性を備えた分散システムの実現を目指します。 (2)機械学習を活用したネットワーク型侵入検 知システム:スケーラブルな分散処理により、ネッ トワーク内で発生する不正アクセスや異常な動作を 自動的に検出するシステムの高速化を目指します。 (3)自律移動ロボットの協調動作に関する理論 的解析:複数の自律的に動くロボットが連携しなが ら特定のタスクを遂行する際の動作やアルゴリズム を理論的に分析し最適化を目指します。 このように、情報システムやネットワーク、理論 分散システム研究室の近況報告 修士2年 梶浦 真帆

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