同窓会報No.42

18 2025年 第42号 TUT 同窓会報 私が広島大学、名古屋大学 を経て本学に着任したのは 2004年9月、今から19年半 前になります。 研究会で一度訪れたことは あるものの、初めて経験する 単科大学、技科大のことを、 その成り立ちも含めよく知らず、着任前の6月平日 昼間に訪れた際、学内にあまり学生を見かけないの が不思議で、「今、学期中ですよね?」と中川先生に 尋ねたところ、「今授業中だからじゃない?」と言わ れ驚いたことをよく覚えています。 この機に本学で過ごした 19 年半を改めて振り返っ てみます。 まず研究室、初めて自分で主宰する研究室でした が、多くの先生方や学生達に支えられてようやく幕 を閉じられることに安堵しております。前任の永持 先生時から引き続き残ってくれた石井利昌先生(現 北海道大学教授)、自身初の公募採用で来てもらった 岡本吉央先生(現電気通信大学教授)から始まり、 藤原洋志先生(現信州大学教授)、木村慧先生(現九 州大学准教授)、そして和佐州洋先生(現法政大学准 教授)と、現在我が国の理論計算機科学分野を牽引 する錚々たる先生方には、それぞれの個性を発揮し ながら、学生や私を優しく丁寧に指導・手助けして くださいました。今日の離散最適化研究室の在り様 は、これらの先生方により形作られたものに他あり ません。 教育については、たまたま目にした、元グーグル、 スタンフォード大教授のセバスチアン・スラン氏に よる、Udacity というMOOC 立ち上げの記事に刺激 を受けたことを思い出します。世界的名門大学から 良質の教材が大量に無料で提供され、インターネッ トと英語さえ使えれば、世界中の誰もがどこからで も利用できるという教育のあり方には大いに考えさ せられるものがあり、本学の特色である「らせん型 教育」にも関わらず、むしろ高専の専門カリキュラ ムとの差別化を図るよう講義内容を刷新しました。 一部(?)受講生には負担が大きく不評だったかも しれませんが、情報系のような変化の激しい分野で は致し方ないのではと考えています。 研究については、最初から最後まで、自分の好きな、 いわゆる理論計算機科学を専門分野とさせていただ きました。実学重視の本学において、またアプリケー ション指向の高まる世の潮流の中にあって、一行も プログラムを書かず、計算機実験も行わず、ひたす ら考え続ける、そのような理論研究を許容してくだ さった本学(の懐の深さ)に、(中には嫌々ながら?) 付き合ってくれた研究室学生に感謝します。 また、あまり貢献はできませんでしたが、大学の 管理運営にもある程度携わらせてもらえたのは、本 学が大規模総合大学ではない、そのおかげではなかっ たかと思います。様々な局面で多くの方々、特に情 報・知能工学系(および旧情報工学系)事務、教務課、 入試課の方々には大いに助けていただきました。 最後となりますが、ここに挙げた方々だけでなく、 本当に多くの本学関係者に支えられ、そのおかげで 何とか無事定年を迎えられます。改めて厚く御礼申 し上げます。 退職教員より 情報・知能工学系 教授 藤戸 敏弘

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