知能材料ロボティクス研究室の近況報告 高木 賢太郎 8 2023年 第40号 TUT 同窓会報 指の研究室でしたので、後任の私も身の引き締まる思い でおります。研究室名としてシステム制御の名前をそのま ま引き継がせていただくことも考えましたが、研究内容を 最も反映するのが適切であろうと思い、標記のような研 究室名としました。なお、研究にはシステム制御工学が 欠かせません、私が学位を取得した研究室(名大・早川 義一教授)も制御工学の研究室でした。制御対象として のセンサ・アクチュエータ材料を伝達関数や状態方程式 などの標準的な形式でモデル化し、解析やシミュレーショ ン、制御系設計を行うまでの一連の数理的技法はシステ ム制御工学の応用そのものです。ということで、当研究 室では、システム制御工学の「心」を引継ぎながら、や わらかい知能材料を用いたアクチュエータ・センサの開発、 モデル化と制御、そしてロボティクスへの応用を目指しま す。さらには、知能材料ロボティクス分野を切り拓くため に必要な数理工学的な手法を研究し、それがシステム制 御工学の学理発展の一助になればと願って研究を進めて まいります。今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます。 2020 年度に教授として着任をいたしました高木と申し ます。2022 年度は、比留田稔樹助教(北大・梶原研か ら2022 年に着任)、温振廷研究員(東北大・小菅・平田 研から2022 年に着任)、藤田事務補佐員、修士 2 年生 5 名、修士 1 年生 8 名、学部 4 年生 8 名が在籍しています。 研究室名の「知能材料」とは、”Smart Materials”の 和訳であり、外部刺激に応答する材料のことです。たと えば、圧電材料や電場応答性高分子材料があります。研 究室では、それらの知能材料をセンサやアクチュエータと して用いて、新たなロボティクス分野を切り拓くことを目 指しています。例えば、固体高分子燃料電池にも用いら れるイオン交換樹脂膜は、無電解めっきを施すことによっ て 3 層構造のアクチュエータとなり、数 V の電圧を加え ると水中で大きく屈曲します。また逆に、変形を加えるこ とによって数 mV の微小な電圧を生じ、センサとして使う ことも可能です。この材料を使うことで、ウェットでやわ らかい水中ロボットを作ることができます。他にも、釣糸 をねじって作られる人工筋肉や、薄いゴム膜から作られる 誘電エラストマーなどについても研究を進めています。 同窓会のみなさまにおかれましては、「え、そんな研究 室あったっけ?」と思われた方も多いのではないかと思い ます。当研究室の前身はシステム制御研究室(寺嶋一彦 教授(現学長)、三好孝典准教授(現長岡技術科学大学 教授)、田崎良佑助教(現青山学院大学准教授) であり、 卒業生のみなさまにはよくご存知の研究室であったことと 存じます。寺嶋研はロボティクスとシステム制御で国内屈
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