2022 年 第 39 号 TUT 同窓会報 1 豊橋技術科学大学同窓会の皆様方におかれましては、常日頃より同窓会活動に対しましてご理解とご協力を賜り まして誠にありがとうございます。 2021 年度も末を迎える頃となりましたが、私が同窓会会長に就任して以降の 2 年間は、世界中が新型コロナウィ ルスへの対応を迫られることとなりました。執筆をしているこの 1 月にあっても、一旦は感染者数が落ち着きを見 せたと思う間もなくオミクロン株による第 6 波が始まっています。コロナ禍の中、学生の皆さんの生活は、オンラ インと対面を併用するハイブリッド授業に、学生時代の財産となる仲間達とのコミュニケーションも制約を受け、 その一方で保護者からの仕送りが厳しくなる学生、アルバイト先がなくなる学生、予定していた留学ができずにオ ンラインで留学先の大学の授業を受ける学生など、大きな影響を受けています。同窓会としては昨年度に引き続き、 そのような困窮する学生の皆さんに支援金の給付を行うと共に、今年度は学生の健康を支えるために学食での食生 活の支援も行ってまいりました。同窓会として、このような時こそ学生の皆さんが困窮を理由に学業、研究を断念 することがないよう、引き続き支援を行っていきたいと考えております。 一方、世界的に大きな課題は脱炭素社会への取り組みであり、昨年 11 月に英国・グラスゴーで開催された COP26 は多くの注目を集めました。日本においても 2030 年度の温室効果ガスを「2013 年度から 46 % 削減、さら に 50 % の高みに向けて挑戦を」との削減目標が掲げられています。この極めて高い削減目標は、全ての自治体、 企業にとっての大きな課題である一方、視点を変えれば、私達技術者にとって大きなチャレンジの機会になると思 います。今こそ、分野の枠を越えて取り組まなければなりません。そのためにも各界でご活躍されている卒業生の 人脈の輪を広げていくことが、皆様のためにも、大学のためにも、日本のためにも大切なことと考えております。 昨年 11 月に行われた 2 年ぶりのホームカミングデーは、残念ながらオンラインでの開催となりましたが、このよう な皆様方の交流の場、様々な地区で行われている同窓生による懇親の機会を同窓会としても支援して参ります。 ウィズ・コロナ、アフター・コロナの時代は、生活や働く環境に大きな変化をもたらすことと思いますが、これ を前向きに捉えて、皆様がご活躍されることを祈念し、今後とも同窓会活動への皆様方のご協力・ご理解を深くお 願いして、挨拶に代えさせて頂きます。 同 窓 会 会 長 挨 拶 社会の課題に向けて、同窓会の輪を 旧6系(建設工学系)4期生 若林 亮 <株式会社日建設計 フェロー役員>
2 2022 年 第 39 号 TUT 同窓会報 同窓会の皆様におか れましては、お元気に ご活躍のこととお慶び 申し上げます。 平成 22 年 4 月に学部・ 大学院組織を再編して、5 つの系と総合教育院におい て教育と研究が行われており、旧機械システム工学系 (旧 1 系)および旧生産システム工学系(旧 2 系)を 統合した機械工学系(1 系)として活動しております。 機械工学系の組織は、機械・システムデザインコー ス、材料・生産加工コース、システム制御・ロボット コース、環境・エネルギーコースの4コースで構成され、 それぞれのコースに4研究室、計16研究室があります。 教員、学生ともにコースに所属する研究室に在籍して おります。 現在、教授 15 名、准教授 12 名、助教 11 名、特任 助教 4 名の計 42 名の教員が所属しております。2020 年度末には、システム制御・ロボットコースの白砂絹 和助教が鶴岡工業高等専門学校に異動されました。 2021 年 4 月には、エレクトロニクス先端融合研究 所からの配置換えによりシステム制御・ロボットコー スに髙山弘太郎教授と戸田清太郎助教が着任されまし た。また、新規採用により、2021 年 4 月には、機械・ システムデザインコースに岡本俊哉助教、環境・エネ ルギーコースに岸本龍典助教が、10 月には機械・シ ステムデザインコースに田尻大樹助教が着任されまし た。本年 10 月には、材料・生産加工コースの小林正 和准教授が、教授に昇任されました。多くの教員の異 動があり、新たに 1 名の教授、4 名の助教が着任し、 准教授 1 名が教授に昇任いたしました。 2020 年初頭以降の新型コロナウイルス感染症の感 染拡大を受けて、機械工学課程・専攻の教育ならび に研究活動は、大きな様変わりを見せております。教 育活動においては従来からの対面形式から Google Classroom などを用いた on-demand 形式や双方向を 組み入れたハイブリッド形式の活用が進んでいます。 また、研究活動では on-line 形式を活用した研究報告 会などの実施、テレワークの推進と、本学・本系も大 きな変遷の中にあります。2021 年度に入り、大学で の職域接種も実施されるなど、対面授業や研究室で の研究活動も緩やかに状況を見ながら実施しており、 2020 年度に比べ、教育・研究ともに少し落ち着きを 取り戻してきたように感じます。 このように、本学・本系を取り巻く環境は目まぐる しく変化しておりますが、本系では、今まで以上に社 会に貢献できる教育・研究を行うべく一層努力する所 存でございます。同窓会の皆様には、引き続きご支援、 ご指導を賜りましたら幸いです。末尾ながら、同窓生 の皆様の益々のご活躍をお祈り申し上げます。 学内近況報告 系長 伊﨑 昌伸
2022 年 第 39 号 TUT 同窓会報 3 教職員紹介(令和3年12月末) 【機械・システムデザインコース】 教 授 足立 忠晴,河村 庄造,柴田 隆行 准 教 授 安部 洋平,竹市 嘉紀,永井 萌土,松原 真己 助 教 岡本 俊哉,田尻 大樹,手島 美帆(特任助教) 【材料・生産加工コース】 教 授 伊崎 昌伸,小林 正和,戸髙 義一,三浦 博己 准 教 授 安井 利明,横山 誠二 助 教 足立 望,山田 基宏,Khoo Pei Loon(特任助教) 【システム制御・ロボットコース】 教 授 内山 直樹,佐藤 海二,高木 賢太郎,髙山 弘太郎 准 教 授 佐野 滋則,真下 智昭 助 教 秋月拓磨,武田 洸晶,戸田 清太郎 Abdallah Farrage(特任助教) 【環境・エネルギーコース】 教 授 飯田 明由,中村 祐二,柳田 秀記,土井 謙太郎 准 教 授 鈴木 孝司,関下 信正,横山 博史,松岡 常吉 助 教 岸本 龍典,西川原 理仁,吉永 司,山崎 拓也 Ju Xiaoyu(特任助教)
4 2022 年 第 39 号 TUT 同窓会報 極限成形システム研究室の近況報告 中村 尚誉 アルミニウム合金板を用いた自動車部材では、鋼板 を用いた場合と比較して比重が約 1/3 のため軽量化が 可能です。しかしながら、アルミニウム合金板と鋼板 の溶接は難しく、アルミニウム合金板の適用は制限さ れています。本研究室ではアルミニウム合金板と鋼板 を接合するためにメカニカルクリンチングやセルフピ アスリベッティングなど、塑性変形を利用した接合法 を開発しており、予成形や局所加熱を用いた接合性の 向上や接着剤の併用による接合強度の向上に取り組ん でおります。 本研究室では実験に主軸を置いた研究を行っており 研究室に来ないと研究が進まず、前年度に引き続き今 年度も新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を 大きく受けました。それでも今年度はワクチンが開発 されて全国的に接種が進んだことで徐々に研究活動を 再開でき、何とか一定の研究成果を収めることができ ました。しかしながら、新入生歓迎会や忘年会、追い 出しコンパなど、従来の研究室行事は依然として行え ておらず、寂しく感じております。1 日も早く新型コ ロナウイルス感染症の感染が終息に向かうことを願う ばかりです。末筆ながら、卒業生ならびに修了生の皆 様方のますますのご活躍をお祈り申し上げます。 本学の卒業生ならびに修了生の皆様方におかれまし ては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 2021 年 12 月現在、極限成形システム研究室では安部 洋平准教授のもと、博士後期課程 2 名、博士前期課程 13 名、学部生 8 名で研究に勤しんでおります。森謙 一郎 名誉教授におかれましては、本学を定年退職さ れた後の 2019 年 4 月からも特任教授としてご教授い ただきましたが、2021 年 3 月に退職されました。 本研究室では、主に超高強度鋼板やアルミニウム合 金板を用いた軽量自動車部材の成形や接合に関する研 究に取り組んでおります。地球温暖化の防止に向けて 二酸化炭素の排出規制が進められており、自動車の軽 量化によって二酸化炭素の排出量を低減できるため、 本研究室における研究は今後も重要であると考えられ ます。 超高強度鋼板を用いた自動車部材では、従来の軟鋼 板を用いた場合と比較して部材の強度を損なうことな く板厚を減少させて軽量化できます。しかしながら、 超高強度鋼板は延性が低いために成形が難しく、部材 の形状が制限されます。そこで、成形において大きく 変形させる領域のみを局所的に焼鈍しして、部材の強 度低下を最小限にした成形性の改善に取り組んでおり ます。
2022 年 第 39 号 TUT 同窓会報 5 査電子顕微鏡の遠隔操作などを実施し、交際的な連携強 化も進めています。 上記のような種々の研究室活動、教育活動をはじめとし て多くの学内・学外活動が、2020 年初頭より一変し、オン ライン化を含め状況に応じた多様な対応が求められ、研究 室内での報告会などもオンラインを積極的に取り入れてお ります。当研究室においては、例年新入生歓迎会をはじめ とした交流会、夏のバーベキュー、冬のスキーツアーなど 多様な活動を行なってきましたが、現在は状況を見ている 状況です。 このような状況に際して、同窓生の皆様から「新型コロ ナウイルス感染症対策緊急募金」として、学生に対するご 支援を頂き、厚く御礼申し上げます。コロナ禍につきまし ては、一日も早い状況の安定化を願うばかりです。その節 には、卒業生・修了生の皆様には、研究室にお立ち寄りい ただき、在籍学生・教員との交流を深めていただければ幸 いです。卒業生・修了生の皆様におかれましては、引き続 き御支援・御指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げ ます。末尾ながら、同窓生の皆様の益々のご活躍をお祈り 申し上げます。 卒業生・修了生の皆様、ご機嫌いかがでしょうか?皆様 におかれましては、お元気にご活躍のこととお慶び申し上 げます。現在、薄膜材料研究室には、私、教授の伊﨑昌 伸、品川勉 客員教授、横山誠二准教授、Khoo Pei Loon 特任助教、研究員1 名、秘書 1 名のスタッフと博士前期 課程学生12 名、学部学生 8 名が在籍しております。 本研究室では、熱力学と固体物理学に立脚した酸化物 機能材料の水溶液電気化学製膜プロセスの設計と実証、 結晶方位制御による機能発現と向上、それらの材料を活用 した太陽光エネルギー変換による電力(太陽光発電)や 水からの水素生成(光電気化学水分解)、など、低炭素 社会の実現に貢献することを目的とした研究を遂行してい ます。また、医療用や産業用として活用されているX線コ ンピュータトモグラフィ(X-ray CT)などにおいて高時間 分解能・高空間分解能を実現するため、X 線などの高エ ネルギー線を可視光に変換するシンチレータ材料の形成と 高性能化の研究も推進しています。2021 年度の国内なら びに国際会議における学生の発表件数は12 件、発表論文 数は12 編となっており、積極的な研究活動を展開していま す。また、優秀講演賞 3 件も授与されております。詳細に つきましては、研究室ホームページ(http://tf.me.tut.ac.jp) をご覧いただけましたら幸いです。 また、当研究室を中心とし、本学の研究連携ネットワー ク構築支援プロジェクトにより「太陽電池についての研究・ 教育のための高専 -TUT連携ネットワーク」を推進してお ります。このプロジェクトは、2011年に開始しました高専と 本学の当該分野での連携・協働プロジェクトを端緒として、 当初参画高専数の 9 校から、本年度は 25 高専、2 他大 学、参画教員数 44 名、参画学生数 67 名となっております。 2021 年12 月には第11回高専 -TUT太陽電池合同シンポ ジウム&防災・減災(エネルギー)シンポジウム(KOSEN GEAR5.0)をオンライン開催し、学生発表件数 37 件、参 加者 83 名となりました。2019 年度までは対面にて実施し ていたのですが、状況が安定し対面開催が可能となること を願っております。 さらに、本年度は JSTさくらサイエンスプログラムにより、 マレーシア、トゥン・フセイン・オン・マレーシア大学(UTHM) とのオンライン交流会を実施しました。長岡・木更津・小 山工業高等専門学校、長岡技術科学大学をオンラインで 結び、セミナー・デモンストレーション・UTHMからの走 薄膜材料研究室の近況報告 伊﨑 昌伸 2021年度研究室メンバーの記念写真 2017年、スキーツアーの写真:懐かしい!また行きたい!
6 2022 年 第 39 号 TUT 同窓会報 ミュニケーションには目をみはるものがあり、積極的 に取り入れ研究活動共々進めております。 ご多用とは存じますが、もし豊橋の近くへいらっ しゃることがございましたら是非ともお気軽にお立ち 寄りください。研究室一同心よりお待ちしております。 最後となりましたが、卒業生、修了生の皆様の益々の ご活躍を祈念しますと共に、今後とも本研究室にご支 援いただきますようお願い申し上げます。 卒業生・修了生の皆様、いかがお過ごしでしょうか。 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 現在、計測システム研究室には教員 4 名(髙山弘太郎 教授、真下智昭准教授、秋月拓磨助教、戸田清太郎 助教)、秘書 4 名、研究員 1 名、博士課程 2 名、修士 課程 14 名、学部 11 名、合わせて 36 名所属しており、 かなりの大所帯になっております。 ここ数年を通して、本研究室では大きな変化がござ いました。まず、2019 年度をもって章忠教授が広島 工業大学教授としてご転出されました。また同 2019 年度には、本学のエレクトロニクス先端融合研究所よ り真下智昭准教授が本研究室に着任されました。そし て本年度、エレクトロニクス先端融合研究所より髙山 弘太郎教授と私、戸田が本研究室に着任いたしました。 現在、本研究室では、農業を中心とした《センシン グ技術》《アクチュエータ技術》《植物工場技術》の 3 領野をベースとして、計測システムの研究・開発に取 り組んでおります。《センシング技術》では、機械や 人体および植物における異常を早期かつ高精度で検知 することを目的とし、信号・画像処理、ディープラー ニングに代表される AI 活用などの開発を行っており ます。《アクチュエータ技術》では、数ミリの大きさ でも十分な力が出せるマイクロモータや、柔軟に曲 がっても駆動力を発生できるフレキシブルモータの開 発、ならびにそれらのモータを用いた、新しい農業用 ロボットの設計開発や計測制御などの開発を行ってお ります。《植物工場技術》では、植物工場などの栽培 環境最適化のための植物生体情報計測技術を開発し ており、食と農の分野へのシステム制御・ロボットの 実装を目指し、ロボット・IoT・AI などを駆使した「ス マート農業」の研究で国内外をリードしております。 一方で研究室行事においては、昨年度よりコロナ 禍の影響によって歓迎会、忘年会や追いコンといった 恒例行事の開催は断念せざるを得ず、少し寂しく感じ ておりますが、学生のオンラインツールを駆使したコ 計測システム研究室の近況報告 戸田 清太郎
2022 年 第 39 号 TUT 同窓会報 7 積の影響を大きく受けます。このため、印加する電流 の向きによりイオンの流れやすさが異なる、すなわち ダイオードのような挙動を示します。この現象を利用 して微小流路におけるダイオードや濃度計、温度計と なるMEMS デバイスの作製を目指しています。また、 マイクロスケールの流路でも同様の実験を行い、ス ケールの異なる空間での現象の違いや微小ガラス電極 を用いた新規の局所電場計測方法を研究しています。 今年度は加工条件の最適化のためにデバイスの作製、 評価を繰り返し、一つの目標であった 500 nm× 500 nm のナノ流路の作製に成功しました。 まだ発足して間もない研究室ですが、EIIRIS 内の 装置の使い方や実験方法を率先して学び、学生間で先 輩・後輩問わず教えあっております。これまで、コロ ナ禍で研究進捗報告会や輪講、勉強会などはオンライ ンを通して行い、研究活動も最低減の人数で行ってい ました。しかし、最近になって大学の登校規制が緩和 されたことにより、研究室に人が集まることも増え、 活気がでてきました。今後も感染対策に気を付けつ つ、より一層研究に励んでいきたいと思います。末尾 ながら同窓会の皆様の益々のご活躍をお祈り申し上げ ます。 卒業生、修了生の皆様、いかがお過ごしでしょうか。 環境熱流体工学研究室の近況についてご報告申し上げ ます。 本研究室は 2020 年度に土井謙太郎教授と当時学部 4 年生の生徒 5 名から発足した新しい研究室です。今 年度、関西学院大学より岸本龍典助教を迎え、土井謙 太郎教授のもと修士学生 4 名、学部学生 4 年生 7 名の 計 11 名が日々研究に取り組んでおります。 本研究室ではマイクロ・ナノスケールの微小空間に おける熱流体現象を研究しております。マイクロ・ナ ノスケールの微小空間で生じる熱流体現象は巨視的空 間に比べ、体積よりも表面積の影響を受けやすいです。 この特性を利用したデバイスの作製や理論の研究を 行っています。具体的には、本大学にある日本屈指の 微細加工施設である、エレクトロ二クス先端融合研究 所 EIIRIS にて半導体加工装置を応用し、数百ナノメー トルスケールの断面積の流路の作製をしています。作 製したナノスケールの流路を用いて、電極を介して定 電流を印加することで、流路内におけるイオン流に起 因した電位変化から試験溶液の濃度や粘度を求める実 験を行っています。また、ナノ流路の表面はマイナス に帯電するため先ほど説明した微小空間における表面 環境熱流体工学研究室の近況報告 齋藤 國太郎
着任のごあいさつ 8 2022 年 第 39 号 TUT 同窓会報 2021 年 4 月に機械工学系計測システム研究室の教授に着任いたしました髙山弘太 郎と申します。出身は農業工学・生物環境工学という農学分野でございますが、機 械工学系に迎え入れていただきました。2004 年に東京大学にて博士(農学)を取得後、 愛媛大学農学部助手に採用され、2017 年より教授(現在、同大学植物工場研究セン ター副センター長)をつとめております。また、2018 年に本学の先端農業・バイオ リサーチセンターの特任教授(現在、副センター長)、2019 年にエレクトロニクス先 端融合研究所教授(現在、先端農業工学グループリーダー)を経て、現在に至ります。 豊橋技術科学大学と愛媛大学のクロスアポイントメントにより、工学と農学が完全に融合した新しい形の教育研究 を推進したいと思っています。 私はこれまで、植物工場などの環境制御型食料生産システムに実装可能な植物診断技術(作物の生育状態を数値 評価する技術)の研究開発を行って参りました。たとえば、私が基礎技術を開発したクロロフィル蛍光画像計測ロボッ トは植物生育診断装置として市販され、また、作物の光合成速度をリアルタイム計測する装置は、本学発ベンチャー 第 2 号の PLANT DATA(株)を通じて有償サービスとして提供され、これらは国内外の植物工場における栽培管 理に活用されつつあります。今後は、機械工学の緻密かつ多層的なモノづくりへの取り組みを農業生産の高度化や 高効率化につなげ、健康的なくらしを支える持続可能な食と農の実現に貢献する計測システムと機械工学を提案し たいと考えています。ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。 機械工学系 教授 髙山 弘太郎 2021 年 4 月に機械工学系の助教に着任しました岡本俊哉です。出身は富山県で、高校 まで地元で過ごしました。その後、山梨大学工学部機械工学科に進学し、2021 年 3 月に 同大学院で博士号を取得しました。山梨大学では、浮田芳昭先生のもと、マイクロ流体デ バイスに関連する流体制御技術や微細加工技術について学び、現在もその研究を行って おります。 マイクロ流体デバイスは、髪の毛くらいの太さの流路や米粒くらいの大きさの反応容器 などで構成された小さなシステムです。昨今、PCR 法などの分析方法の用語が日常的に 聞かれるようになりましたが、このような化学分析をマイクロ流体デバイス上で実行することで、少ないサンプル量で分析 できたり、より高速で高感度に分析できたりします。しかしながら、従来の技術では、この微細な空間内でサンプルなどを 簡便に扱うことが難しいため、大型で高価な制御装置が必要となってしまい、実用化や普及の妨げとなっています。そこで 私の研究では、より高度で手軽な分析装置の実現と普及を目指し、遠心力を利用した新たな流体制御技術の研究に取り組 んでいます。 博士課程修了直後に助教に着任し、不安の多い中、本学に参りましたが、柴田教授をはじめ教職員の方々の優しいご指 導と、率先して研究に取り組む活発な学生のおかげで、日々楽しく研究を行えています。若輩者ではありますが、本学での 研究・教育に精一杯努めますので、何卒よろしくお願いいたします。 機械工学系 助教 岡本 俊哉
2022 年 第 39 号 TUT 同窓会報 9 2021 年 4 月に機械工学系の助教に着任しました岸本です。出身は奈良県で、関西 学院大学理工学研究科の博士課程に在籍していました。所属は関西学院大学でしたが、 色々なご縁があり、大阪の池田市にある産業技術総合研究所の技術研修生を経て、博 士課程後期からは大阪市立大学理学研究科の技術研修生として研究をさせていただい ておりました。 2021 年 3 月に関西学院大学にて博士(工学)を取得し、本学の環境・エネルギーコー スの環境熱流体工学研究室(土井研)の教員となりました。学生時代では液中のマイ クロメートル~ナノメートルサイズの微小物体を光でとらえる“光ピンセット”を用いて、神経細胞表面に局在する神 経活動に関連する分子の操作に関する研究に従事してきました。ミクロスケールの分子やイオンの挙動に興味を持ち、 本学に着任してからは土井教授とともに微小スケール特有の現象やイオンの輸送現象に関する研究をしております。 本研究室は昨年できたばかりですが、新しく配属された学部 4 年生や修士 1 年生の学生とともに微小ガラス電極を 用いた局所場の電場計測法の開発や、本学にある日本屈指の微細加工施設であるEIIRIS でのナノ流路作製など、微 細加工技術を用いた分野に関して幅広く研究を行っています。将来的には微細加工技術を用いた研究のみならず、脳・ 神経科学の分野と融合させることで新規の計測技術開発や再生医療などに貢献していきたいと考えています。どうぞ よろしくお願いします。 機械工学系 助教 岸本 龍典 2021 年 10 月1日付で機械工学系機械ダイナミクス研究室(河村研究室)の助教とし て着任いたしました田尻大樹です。先生方や学生の皆様に支えられ、楽しく研究してい ます。 出身は熊本で、工業高校から高専 4 年次へ編入、高専から本学 3 年次へ編入しました。 学部 4 年次から修士課程までは河村研究室に所属し、自動車用タイヤの振動に関する 研究に取り組みました。 その後、生産設備メーカーで米国自動車用の産業ロボットの設計に従事しました。そ のとき、モノづくりの現場では振動や騒音に関する課題がつきものであることを体感しました。そこで改めて振動や騒音 に関する研究に興味が湧き、一念発起して河村研究室の門をたたき、2021 年 9 月に博士課程を修了しました。 専門分野は振動工学で、機械や構造物の振動特性を把握する実験モード解析法の研究に取り組んでいます。この解 析法は 70 年ほど前から使用されてきましたが、持続可能な開発に伴う機械や構造物の特性の変化とともに、その解析 法も進化する必要があります。特に高い周波数域の振動特性の把握が難しいことが課題の一つに挙げられます。このよ うな課題を一つずつ解決し、モノづくりに役立つ解析法を創っていきます。今後は、把握した特性のモデル化に力を注ぎ、 データサイエンスも研究に取り入れ、新しい振動解析技術を創っていきたいです。 まだまだ未熟者ですが、教育・研究活動に精一杯努めます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 機械工学系 助教 田尻 大樹
10 2022 年 第 39 号 TUT 同窓会報 2021 年 4 月付で、機械工学系計測システム研究室に助教として着任いたしました戸 田清太郎と申します。出身は兵庫県神戸市で、近畿大学農学部を卒業後、愛媛大学農 学研究科に入学し髙山弘太郎教授のご指導の下、2020 年に博士(農学)を修めました。 その後、本学のエレクトロニクス先端融合研究所で助教として働いた後、計測システム 研究室に着任いたしました。 学部生の頃に、高効率な作物生産を可能とする太陽光植物工場なるものがあることを 知り、その分野において、植物を計測し生育状態を把握・診断する研究をされている髙 山教授の下で学びたいと思い修士課程から愛媛大学に進学いたしました。専門は、植物の画像計測・解析で、植物の生 育診断に活用可能な植物生体情報の計測技術を開発しております。稚拙ではありますが、これまでに計測装置の開発か ら画像解析アルゴリズムの設計・開発・実装まで一気通貫で行っており、これらを発展させるべく本学の諸先生方の工 学からの知見をご教示賜りたく存じます。農学の分野で博士を修めたばかりの若輩者でございますが、自分の専門であ る農学と本学の特徴である工学を融合した実用化研究に取り組んで参りたく存じます。また、将来的に農学と工学のコ ラボレイティブな研究ができるよう、研鑽を重ねて参りたい所存です。皆様には、今後ともご指導、ご鞭撻のほど何卒 よろしくお願い申し上げます。 機械工学系 助教 戸田 清太郎
2022 年 第 39 号 TUT 同窓会報 11 本学の卒業生・修了生の皆様におかれましては、ご健 勝のことと存じます。2020 年度は、現在も猛威を振るう COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響が日本 全国に広がり、2021 年 1月には 2 回目の緊急事態宣言が 愛知県に発出されました。本学でもその影響は避けられ ず、B4 後期の必修科目である実務訓練は学内で実施さ れることとなり、卒業研究発表会や修士学位論文審査会 はGoogle Meet を使用してオンラインで実施せざるを得 ませんでした。新型コロナウイルス感染症により、多大な 影響を受けられた方々には、心よりお見舞い申し上げます。 話は 2020 年 4 月に遡りますが、電気・電子情報工学 系に新しい学生達が入学・編入してきました。2020 年度 1 年次の推薦による入学者数は 3 名で、3 年次の編入学 者数においては 80 名(特別推薦、GAC 推薦の入学者除 く)でした。 まず本系に関するご報告の一つとして、大平孝教授が、 IEEE 会員としての長年にわたる活動と功績が認められ、 IEEE Life Fellowを受賞されました。八井崇教授は、約 24,000 件の利用課題の中からイノベーションに繋がること が期待できるとして、文部科学省ナノテクノロジープラッ トフォーム 令和 2 年度「秀でた利用成果」最優秀賞を受 賞されました。その他にも、多数の教員・学生が研究に 関わる賞を受賞しております。本系の研究活動を謹んで ご報告させて頂きます。 次に昨年度に引き続き先生方の異動がありましたので ご報告させて頂きます。まず、2021 年 3 月31日付けで 大平孝先生と櫻井庸司先生が定年退職されました。さら に、Moïse Sotto 先生と阿部晋士先生が、それぞれ集積 電子システムコースと情報通信システムコースの助手を 退職されました。一方で、2020 年 4 月1日付けで八井崇 先生と崔容俊先生が、それぞれ材料エレクトロニクスコー スの教授と集積電子システムコースの助教に就任されま した。また、針谷達先生が 2020 年 7 月1日付けで機能 電気システムコースの助教から講師に昇進されました。 以上が、電気・電子情報工学系の 2020 年度の近況報 告です。さて、2021 年度においては、新型コロナウイル ス感染症の影響による生活様式の変容が定着化してい き、本系でも対策の継続が必須となります。“コロナ時代” に向けた本系の人材育成、教育研究の更なる改善、取り 組みを推進する必要があります。今後とも、本系教職員 一同今まで以上に精進し、社会に貢献できる人材育成、 教育研究活動を引き続き行っていきますので、同窓生の 皆様には引き続きご支援、ご指導を賜れば幸いです。 学内近況報告 准教授 竹内 啓悟
12 2022 年 第 39 号 TUT 同窓会報 教職員紹介(令和3年12月31日現在) 【材料エレクトロニクスコース】 教 授 松田 厚範,内田 裕久,八井 崇,武藤 浩行*1 Lim Pang Boey*2 准 教 授 服部 敏明,中村 雄一,河村 剛,加藤 亮*3 助 教 後藤 太一,引間 和浩,勝見 亮太 【機能電気システムコース】 教 授 穂積 直裕,滝川 浩史 准 教 授 稲田 亮史,村上 義信 講 師 針谷 達 助 教 川島 朋裕,坂東 隆宏 【集積電子システムコース】 教 授 若原 昭浩,澤田 和明,石川 靖彦,岡田 浩*1 准 教 授 河野 剛士,高橋 一浩,関口 寛人,野田 俊彦*4 助 教 山根 啓輔,崔 容俊 Piedra Lorenzana José Alberto 【情報通信システムコース 】 教 授 市川 周一,上原 秀幸 准 教 授 田村 昌也,竹内 啓悟 助 教 宮路 祐一 技 術 職 員 日比 美彦,飛沢 健,赤井 大輔 *1 総合教育院、*2 グローバル工学教育推進機構、*3 教育研究基盤センター、*4 エレクトロニクス先端融合研究所
美しき波動工学 未来ビークルシティリサーチセンター 大平 孝 た非ユークリッド円盤モデルと数学的に等価であることが ここ数年の研究で明らかになってきました。まさに世紀をま たぐ時空間超えの研究テーマです。波動工学の研究成果の いくつかが同じくこの数年で社会実装可能な水準に到達し ました。社会実装活動の一環として大学発ベンチャー企業 (株式会社パワーウェーブ)を設立しました。本学インキュ ベーション施設に本学出身の新進気鋭エンジニアが結集、 プロジェクトX成功に向け一直線爆進中です。 本会報をお読みになって波動工学に関心をお持ち頂け るようでしたら最新解説[1 - 3]をご覧下さい。いつか皆さん と共に美しき波動工学を語りあう日が来ること楽しみにして 筆をおきます。 文 献 [1] 大平 孝「平面幾何で語る波動工学」表面技術 , no.08, pp.414-418, Aug. 2021. [2] 大平 孝「理系を志す中高生に伝えたい:乾電池と 豆電球から見えてくる電力伝送理論」電子情報通 信学会誌 , vol.104, no.1, pp.75-80, Jan. 2021. [3] T. Ohira, “A radio engineer’s voyage to doublecentury-old plane geometry,” IEEE Microwave Magazine, vol.21, no.11, pp.60-67, Nov. 2020. 同窓会のみなさん、お元気です か。私こと令和3年3月で本学を 退職致しました。在職中は情報工 学系ならびに電気・電子情報工 学系に所属、着任時から14 年の 長きにわたり教員の皆様そして 事務局の皆様に大変お世話にな りました。この場をお借りして厚く お礼申し上げます。幸いにして同年 4 月から本学未来ビー クルシティリサーチセンター専属教員として引き続き常勤雇 用となりました。 学内所属変更に伴い長く住み慣れた電気系研究棟から イノベーション第 2 研究棟に移りました。場所は変わっても 研究室の名称「波動工学研究室」は健在です。系所属か らリサーチセンター所属になったので新しい 4 年生の研究 室配属はありません…が、力強い味方=アルバイト学生 20 名(本学1年生〜 4 年生)を受け入れ、研究室は益々活気 に満ちています。 研究室の主題「波動工学」をここで少し紹介しましょう。 本学の学習カリキュラムで本格的な波動工学に最初に接 するのは学部 3 年次の選択科目「高周波回路工学」です。 この科目では学期開始早々の授業で図1に示す円線図を描 く練習をします。このとき分度器やコンパスは使いません。 フリーハンドで如何に美しく描くかがポイントです。この円 線図の数学的背景や物理的意味を全く説明せず、とにかく 無心で美しく描く練習です。学生君たちは各自のノートに鉛 筆で、そして特に美しく描けた学生君は前に出てホワイトボ ードに大きく描いてみんなに披露します。描画を繰り返す過 程で学生君たちから素朴な質問が囁かれ始めます。ところ でこの図形って波動とどういう関係?とか、円弧が規則的に 並んでるので全体をひとつの簡単な数式で表せるかも?な ど。ここまで来れば導入ステージクリアです。 研究室では世界最高レベルの波動工学を独創的に研究 推進しています。革新的基礎理論の創発からシステム応用 そして世の中への社会実装です。波動工学の基礎理論で ある円線図(図1)は20 世紀の発明とされていましたが、実 は19 世紀のフランスの数学者ポアンカレ(図 2)が提案し 退職教員より 2022 年 第 39 号 TUT 同窓会報 13 筆者近景 図1 学部3年次の授業で登場する美しい円弧群 図2 アンリ・ポアンカレ(1854–1912)
「長いようで短かった14年間」 電気・電子情報工学系 教授 櫻井 庸司 固体電池の研究もコアテーマに据えて研究を展開しました。 更に、2 代目助教・東城友都先生(2014.4 ~ 2018.8;現、 静岡理工科大学准教授)の強力なサポートのもと、ポスト・ リチウムイオン電池としてのカルシウムイオン電池用新材料 の研究と、本質的な電極材料特性を評価するための新規単 一粒子測定法の開発を推進致しました。特定テーマの深堀 で社会実装にまで繋げるには至りませんでしたが、共同研 究も含めて各々のテーマでそれなりの成果がこれまで得ら れたのは幸いです。これもひとえに、優秀な教員スタッフと 数々の失敗にもめげずに粘り強く実験を重ねてくれた学生 諸君の努力の賜物であり、只々感謝の一言です。 研究室活動以外で力を注いだものとして、電池技術に関 する振興・普及啓蒙活動があります。例として、電気化学 会電池技術委員会の役員には前職も含め通算17年間在任 し、その主催イベントである電池関係の国内最大学会(電 池討論会)などを通して、我が国の電池技術・研究の発展 に尽くしました。 長いようで短かった14年間の充実した技科大教員生活、 定年退職に伴って教育・研究の第一線を退くことにはなりま したが、定年退職後も本学非常勤講師に加えてNEDO技 術委員とJSTアドバイザーの委嘱を受けており、これから も最新情報収集を心掛けて参ります。 最後になりましたが、在任中大変お世話になった教職員 の皆様方に深く感謝するとともに、皆様のご多幸をお祈り申 し上げます。 縁あってNTT 研究所の研究員から転身し、電気・電子 工学系(当時)の教授として着任したのが 2007 年 4 月。早 いものでそれから14 年が経過し、2021年 3 月末に定年退 職を迎えました。 この間色々なことがありましたが、着任当初の研究室立 ち上げ時のことが今も鮮明に思い起こされます。研究室名 を「クリーンエネルギー変換研究室」と定め、“地球環境に 優しく、世の中の役に立つ、新しい電池技術を共に創出し よう!!”という研究室のモットーに惹かれて(?)研究室に 入ってきた4 名の学部 4 年生とともに、実験室環境構築か らスタートしました。初年度は資金繰りも重要案件で、共同 研究・奨学寄附金・資産(実験装置・備品)寄附の調達と 科研費獲得に向けた申請書作成も並行して行う必要があ り、目まぐるしく時が過ぎていきました。幸いにも2 年目以 降現在まで、科研費等の競争的外部資金と企業との共同研 究を途切れなく受け入れて研究も軌道に乗りましたが、そ の原動力は研究室のモットーに共感してくれた学生達の努 力・研究成果によるもので、感謝に堪えません。 着任当初は、社会問題化しつつあったリチウムイオン電 池の発熱・発火を防ぐための電池高安全化技術開発を中 核とし、燃料電池の低コスト化に向けた触媒材料の研究も 行っていました。後者の研究は、初代助教・千坂光陽先生 (2008.4 ~ 2012.3;現、弘前大学准教授)の転出を機にテ ーマ移管しました。その後は、2011年 4 月の准教授昇任に 合わせて研究室に合流して頂いた稲田亮史先生の卓越し た研究推進力で、究極的な超安全電池である酸化物系全 14 2022 年 第 39 号 TUT 同窓会報 実験設備が不十分な実験室にて、櫻井研第1期生とともに (2008.8.1) 研究室恒例のボーリング大会(2015.12.2) 新歓集合写真(2018.4.18) 追いコン集合写真(2020.2.21)
2022 年 第 39 号 TUT 同窓会報 15 Integrated Photonic Device Group Piedra Lorenzana Jose Alberto Howareyoudoing, graduatesandalumni? Ihopethat youare all doingwell. The Integrated Photonic Device Group is under the direction of Professor Ishikawa Yasuhiko and Assistant Professor Piedra Lorenzana Jose Alberto, with 12 students (including 8 in master’s course and 4 in undergraduate course). In this laboratory, we are working in Silicon photonics. Silicon photonics is a technology that integrates ultrasmallphotonicdevicesonaSi chipusingLSIprocesses. Such integrated photonic devices are strongly required for low-power and high-capacity information transmission. High-performance active photonic devices operating at the near-infrared communication wavelengths (1.3-1.6 µm) are integrated on a Si chip with passive photonic devices such as optical waveguidesandoptical filters.Novelphotonicdevices usinggroup-IVepitaxial layersonSiareproposedand realized. Ge is an indirect bandgap semiconductor that have shown excellent optical properties similar to direct semiconductors by applying band engineering. Novel photonic devices are under investigations such as optical intensity/phase modulators and light emitters (particularly, lasers).Thislaboratorycarriesoutstate of theartGeepitaxialgrowthonSibyUHV-CVD,been the only laboratory inJapan till the date. Our research is focused on3 themes: 1) Si-basedwaveguides 2) Ge-on-Si photodetectors 3)Novel Ge-on-Si devices (suchas lasers) This laboratory holds collaboration with overseas researchers belonging to prestigious institutions such as theMIT(USA) and theKOOKMINUniversity (Korea), this allows us to remain at the forefront and expand the scope of our research. As a newmember of this group, I amvery happy with the way I have been received, all the members have been very kind to me. adapting to a new work environment is always a challenge, just like adapting to a foreign country. Particularly life in Toyohashi is very peaceful and refreshing compared to the daily hustle and bustle of the big cities. Coming to Toyohashi University of Technology has allowed me to meet people of different nationalities, which has been such an enriching experience that allowed me to perceive such differentpointsof viewandculturaldifferencesexisting in our world. There are foreigners of different nationalities who are always open to cultural exchange and new friendships. Participating in the different clubs is an excellent opportunity to get to knowmany people. The past years have been a real challenge due the corona virus which has restricted our daily activities andthetravelopportunities,butwecontinuetodoour best to carry out our research.As this year concludes, on behalf of the integrated photonics group we would like towishyouabove all goodhealthand further success on this coming year. Students at clean room
16 2022 年 第 39 号 TUT 同窓会報 卒業生・修了生の皆様、いかがお過ごしでしょうか。皆 様におかれましては、ますますご健勝にてご活躍のことと 存じます。 ナノ電子オプトエレクトロニクスグループは、2020 年度 に八井崇先生によって発足されました。八井崇教授、勝 見亮太助教の教員2 名、および学生 7 名(博士前期課程 2 名、学部 5 名)で構成されております。 現在では様々な、物質をナノスケールまで小さくし、そ こに情報を蓄え処理する技術であるナノテクノロジーの開 発が行われています。このようなナノ寸法の世界において、 ナノスケールに局在した光である「近接場光」の誕生によっ て光技術は進展を遂げてきました。本研究室では、この 近接場光の研究を行っており、ナノスケールにおいて初め て見える現象や可能となる概念などを探索し、そしてそれ を制御可能とすることで、自然を超えたデバイスを実現し、 省エネルギー化、そしてQOLの向上を目指しています。 テーマの一つとして、近接場光加工を駆使した量子セ ンサーの研究を行っております。近接場光を了することで、 原子レベルでの表面平滑化が実現します。光デバイス、 電子デバイス表面が平滑化されることでデバイス性能が 飛躍的に向上し、エネルギー自給社会の実現を目指してい ます。 また、高効率シリコン受光器の開発をしています。近接 場光勇気の効果をもとに、Si 光検出器の高効率化とSi の バンドギャップ波長よりも長波長帯での広帯域かつ高効率 光吸収が可能となります。本技術開発によって、肌水分量 や脂質計測などのセルフケア分野やPOCT分野での利用 も期待されています。 さらには、エネルギー環境問題の解決を目指しています。 近接場光を利用することで従来反応が難しい光化学反応 を促進することが可能になります。この効果を利用して、 太陽光と水による高効率水素発生、二酸化炭素削減、人 工光合成などのテーマに取り組んでいます。 本年度からは近接場光を利用したウイルスの不活性化 の研究なども行っております。 昨今のコロナウイルスへの対策を踏まえて、研究活動の 進め方が大きく変わりました。研究室全体ミーティングを Google meetを使用して行うことで三密を避けるなど、様々 な工夫を行っております。 コロナ禍であるため、新入生歓迎会や忘年会、そして 研究室旅行などの様々な研究室イベントが行えていない現 状に少々寂しく感じております。一日も早いコロナ禍収束を 願っております。 本研究室の活動の詳細について、研究室のウェブペー ジ(https://lux.ee.tut.ac.jp/)にて公開されております。研 究成果や近況についてより分かりやすく公開させておりま すので、是非ご覧ください。このような状況下でも日々の 研究活動が行えることに我々は、心から感謝致しますとと もに、より一層、この研究室が活躍できますよう日々努めて 参りたいと存じます。 末尾ながら、皆様方の今後の更なるご活躍とご健康を 研究室一同、心よりお祈りしています。 ナノ電子オプトエレクトロニクスグループ 電気・電子工学専攻 修士1年 平松 航
2022 年 第 39 号 TUT 同窓会報 17 同窓生の皆様には、ますますご健勝のこととお喜び申し上 げます。 本年度も、情報・知能工学課程への高等専門学校からの 編入志願者は募集人数を大幅に超え、優秀な学生が多数 入学してくれました。また、1年次入学者の進学希望者も多く、 学部生は全ての学年で定員を超えています。人工知能や機 械学習への期待、データサイエンスを身につけた人材への 期待、ゲームやバーチャルリアリティの普及がその背景にあ るのでしょう。 新型コロナ感染症による入構制限は2020 年度に比べると 2021年度は随分緩和され、研究室での研究や実験も一部 可能となりました。前期は講義の半分程度を対面で行うこと が可能となり、感染者数の激減により後期は対面講義も実験 室での研究も注意しながら行うことが可能となりました。12月 23日には、卒業研究発表会を例年通り大教室で行うことが できました。一方で、学生の多くは自宅で研究を行うことが 基本の生活スタイルになり、大学で教員や研究室の他のメン バーと会ったり、雑談したりする機会が少なくなっているよう です。これが今後も続くのか、また昔のように賑やかな研究 室が戻ってくるのかは全く分からないところです。 東フィンランド大学とフランスのジャン・モネ大学、ベルギー のKUルーヴェン大学と本学による「近未来クロスリアリティ 技術を牽引する光イメージング情報学 国際修士プログラム (IMLEX)」が 2020 年に始まり、今年度は学生が本学に来 るフェーズに入りました。これは、最初の半年はフィンランド、 次の半年はフランスあるいはベルギー、そして最後の1年間 は日本で行い、3つの学位が取得出来るプログラムです。し かし、学生は未だ日本に入国できていません。一方で日本人 学生はヨーロッパに留学し講義を受けています。日本だけが 学生の教育機会を奪っている状況です。 さて、本年度も数名の教員の異動がありました。2021年 4月に田村秀希助教が南哲人教授の研究室に着任しました。 田村先生は本学の卒業生でもあり、企業研究所での経験を 経て、本系に教育・研究を担うために戻ってきました。2022 年 2月には、廣中詩織助教が梅村恭司教授の研究室に着 任しました。廣中先生は、本学の博士後期課程在籍時から 大樹プログラムにより特任助手・特任助教として研究に従事 しており、今後は教育にも貢献して頂きます。また、2021年 6月末で吉田光男助教が退職し、筑波大学ビジネスサイエ ンス系に准教授として転出しました。2021年 9月末には高 橋茶子助教が山形大学大学院理工学研究科に転出しまし た。2022 年 3月末には和佐州洋助教が退職し、法政大学 理工学部応用情報工学科に講師として転出します。そして、 2022 年 3月で石田好輝 教授が定年退職されます。 この2 年間の新型コロナ感染症の影響では良いこともあり ました。学内外の会議やシンポジウムの多くが中止となり、ま たオンライン開催となったことにより、教員には時間的余裕が できて、学生の指導や研究を行う時間が増えました。そして、 勤務時間も随分改善されました。大学に遅くまで残っている 学生も随分減ったと思います。つまり、外からの影響で、必 要性の低いものが淘汰されたと言えます。この点は、今後も 引き続き継続するべきであり、学生も教員も健康で幸せな生 活ができるようにしたいと思います。 一方で、大規模な装置を用いる研究や人を対象とする 実験が厳しく制限されたことによる損害は大きいものです。 2020−2021年は例年よりも論文出版数が増えましたが、こ れは過去の研究成果を論文化する時間が増えたことによりま す。現在は、研究成果やデータが足りない状況が起こりつつ あります。今後は、健康な生活と研究教育のバランスをとり、 加速して前に進む必要があります。 新型コロナ感染症の流行は落ち着いてきました。しかし、 今後も予想出来ない自然災害の発生や状況・環境の変化、 そして人間観や生き方の変化があることでしょう。情報・知 能工学系は、このようなさまざまな状況や環境の変化に対し て、常に新しい視点と方法を活用して対応していく所存です。 同窓生の皆様方におかれましては、引き続きご支援とご鞭撻 をよろしくお願いしたく存じます。 学内近況報告 系長 北崎 充晃
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