2022 年 第 39 号 TUT 同窓会報 7 積の影響を大きく受けます。このため、印加する電流 の向きによりイオンの流れやすさが異なる、すなわち ダイオードのような挙動を示します。この現象を利用 して微小流路におけるダイオードや濃度計、温度計と なるMEMS デバイスの作製を目指しています。また、 マイクロスケールの流路でも同様の実験を行い、ス ケールの異なる空間での現象の違いや微小ガラス電極 を用いた新規の局所電場計測方法を研究しています。 今年度は加工条件の最適化のためにデバイスの作製、 評価を繰り返し、一つの目標であった 500 nm× 500 nm のナノ流路の作製に成功しました。 まだ発足して間もない研究室ですが、EIIRIS 内の 装置の使い方や実験方法を率先して学び、学生間で先 輩・後輩問わず教えあっております。これまで、コロ ナ禍で研究進捗報告会や輪講、勉強会などはオンライ ンを通して行い、研究活動も最低減の人数で行ってい ました。しかし、最近になって大学の登校規制が緩和 されたことにより、研究室に人が集まることも増え、 活気がでてきました。今後も感染対策に気を付けつ つ、より一層研究に励んでいきたいと思います。末尾 ながら同窓会の皆様の益々のご活躍をお祈り申し上げ ます。 卒業生、修了生の皆様、いかがお過ごしでしょうか。 環境熱流体工学研究室の近況についてご報告申し上げ ます。 本研究室は 2020 年度に土井謙太郎教授と当時学部 4 年生の生徒 5 名から発足した新しい研究室です。今 年度、関西学院大学より岸本龍典助教を迎え、土井謙 太郎教授のもと修士学生 4 名、学部学生 4 年生 7 名の 計 11 名が日々研究に取り組んでおります。 本研究室ではマイクロ・ナノスケールの微小空間に おける熱流体現象を研究しております。マイクロ・ナ ノスケールの微小空間で生じる熱流体現象は巨視的空 間に比べ、体積よりも表面積の影響を受けやすいです。 この特性を利用したデバイスの作製や理論の研究を 行っています。具体的には、本大学にある日本屈指の 微細加工施設である、エレクトロ二クス先端融合研究 所 EIIRIS にて半導体加工装置を応用し、数百ナノメー トルスケールの断面積の流路の作製をしています。作 製したナノスケールの流路を用いて、電極を介して定 電流を印加することで、流路内におけるイオン流に起 因した電位変化から試験溶液の濃度や粘度を求める実 験を行っています。また、ナノ流路の表面はマイナス に帯電するため先ほど説明した微小空間における表面 環境熱流体工学研究室の近況報告 齋藤 國太郎
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