4 2022 年 第 39 号 TUT 同窓会報 極限成形システム研究室の近況報告 中村 尚誉 アルミニウム合金板を用いた自動車部材では、鋼板 を用いた場合と比較して比重が約 1/3 のため軽量化が 可能です。しかしながら、アルミニウム合金板と鋼板 の溶接は難しく、アルミニウム合金板の適用は制限さ れています。本研究室ではアルミニウム合金板と鋼板 を接合するためにメカニカルクリンチングやセルフピ アスリベッティングなど、塑性変形を利用した接合法 を開発しており、予成形や局所加熱を用いた接合性の 向上や接着剤の併用による接合強度の向上に取り組ん でおります。 本研究室では実験に主軸を置いた研究を行っており 研究室に来ないと研究が進まず、前年度に引き続き今 年度も新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を 大きく受けました。それでも今年度はワクチンが開発 されて全国的に接種が進んだことで徐々に研究活動を 再開でき、何とか一定の研究成果を収めることができ ました。しかしながら、新入生歓迎会や忘年会、追い 出しコンパなど、従来の研究室行事は依然として行え ておらず、寂しく感じております。1 日も早く新型コ ロナウイルス感染症の感染が終息に向かうことを願う ばかりです。末筆ながら、卒業生ならびに修了生の皆 様方のますますのご活躍をお祈り申し上げます。 本学の卒業生ならびに修了生の皆様方におかれまし ては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 2021 年 12 月現在、極限成形システム研究室では安部 洋平准教授のもと、博士後期課程 2 名、博士前期課程 13 名、学部生 8 名で研究に勤しんでおります。森謙 一郎 名誉教授におかれましては、本学を定年退職さ れた後の 2019 年 4 月からも特任教授としてご教授い ただきましたが、2021 年 3 月に退職されました。 本研究室では、主に超高強度鋼板やアルミニウム合 金板を用いた軽量自動車部材の成形や接合に関する研 究に取り組んでおります。地球温暖化の防止に向けて 二酸化炭素の排出規制が進められており、自動車の軽 量化によって二酸化炭素の排出量を低減できるため、 本研究室における研究は今後も重要であると考えられ ます。 超高強度鋼板を用いた自動車部材では、従来の軟鋼 板を用いた場合と比較して部材の強度を損なうことな く板厚を減少させて軽量化できます。しかしながら、 超高強度鋼板は延性が低いために成形が難しく、部材 の形状が制限されます。そこで、成形において大きく 変形させる領域のみを局所的に焼鈍しして、部材の強 度低下を最小限にした成形性の改善に取り組んでおり ます。
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