「長いようで短かった14年間」 電気・電子情報工学系 教授 櫻井 庸司 固体電池の研究もコアテーマに据えて研究を展開しました。 更に、2 代目助教・東城友都先生(2014.4 ~ 2018.8;現、 静岡理工科大学准教授)の強力なサポートのもと、ポスト・ リチウムイオン電池としてのカルシウムイオン電池用新材料 の研究と、本質的な電極材料特性を評価するための新規単 一粒子測定法の開発を推進致しました。特定テーマの深堀 で社会実装にまで繋げるには至りませんでしたが、共同研 究も含めて各々のテーマでそれなりの成果がこれまで得ら れたのは幸いです。これもひとえに、優秀な教員スタッフと 数々の失敗にもめげずに粘り強く実験を重ねてくれた学生 諸君の努力の賜物であり、只々感謝の一言です。 研究室活動以外で力を注いだものとして、電池技術に関 する振興・普及啓蒙活動があります。例として、電気化学 会電池技術委員会の役員には前職も含め通算17年間在任 し、その主催イベントである電池関係の国内最大学会(電 池討論会)などを通して、我が国の電池技術・研究の発展 に尽くしました。 長いようで短かった14年間の充実した技科大教員生活、 定年退職に伴って教育・研究の第一線を退くことにはなりま したが、定年退職後も本学非常勤講師に加えてNEDO技 術委員とJSTアドバイザーの委嘱を受けており、これから も最新情報収集を心掛けて参ります。 最後になりましたが、在任中大変お世話になった教職員 の皆様方に深く感謝するとともに、皆様のご多幸をお祈り申 し上げます。 縁あってNTT 研究所の研究員から転身し、電気・電子 工学系(当時)の教授として着任したのが 2007 年 4 月。早 いものでそれから14 年が経過し、2021年 3 月末に定年退 職を迎えました。 この間色々なことがありましたが、着任当初の研究室立 ち上げ時のことが今も鮮明に思い起こされます。研究室名 を「クリーンエネルギー変換研究室」と定め、“地球環境に 優しく、世の中の役に立つ、新しい電池技術を共に創出し よう!!”という研究室のモットーに惹かれて(?)研究室に 入ってきた4 名の学部 4 年生とともに、実験室環境構築か らスタートしました。初年度は資金繰りも重要案件で、共同 研究・奨学寄附金・資産(実験装置・備品)寄附の調達と 科研費獲得に向けた申請書作成も並行して行う必要があ り、目まぐるしく時が過ぎていきました。幸いにも2 年目以 降現在まで、科研費等の競争的外部資金と企業との共同研 究を途切れなく受け入れて研究も軌道に乗りましたが、そ の原動力は研究室のモットーに共感してくれた学生達の努 力・研究成果によるもので、感謝に堪えません。 着任当初は、社会問題化しつつあったリチウムイオン電 池の発熱・発火を防ぐための電池高安全化技術開発を中 核とし、燃料電池の低コスト化に向けた触媒材料の研究も 行っていました。後者の研究は、初代助教・千坂光陽先生 (2008.4 ~ 2012.3;現、弘前大学准教授)の転出を機にテ ーマ移管しました。その後は、2011年 4 月の准教授昇任に 合わせて研究室に合流して頂いた稲田亮史先生の卓越し た研究推進力で、究極的な超安全電池である酸化物系全 14 2022 年 第 39 号 TUT 同窓会報 実験設備が不十分な実験室にて、櫻井研第1期生とともに (2008.8.1) 研究室恒例のボーリング大会(2015.12.2) 新歓集合写真(2018.4.18) 追いコン集合写真(2020.2.21)
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