同窓会報No.39

美しき波動工学 未来ビークルシティリサーチセンター 大平 孝 た非ユークリッド円盤モデルと数学的に等価であることが ここ数年の研究で明らかになってきました。まさに世紀をま たぐ時空間超えの研究テーマです。波動工学の研究成果の いくつかが同じくこの数年で社会実装可能な水準に到達し ました。社会実装活動の一環として大学発ベンチャー企業 (株式会社パワーウェーブ)を設立しました。本学インキュ ベーション施設に本学出身の新進気鋭エンジニアが結集、 プロジェクトX成功に向け一直線爆進中です。 本会報をお読みになって波動工学に関心をお持ち頂け るようでしたら最新解説[1 - 3]をご覧下さい。いつか皆さん と共に美しき波動工学を語りあう日が来ること楽しみにして 筆をおきます。 文 献 [1] 大平 孝「平面幾何で語る波動工学」表面技術 , no.08, pp.414-418, Aug. 2021. [2] 大平 孝「理系を志す中高生に伝えたい:乾電池と 豆電球から見えてくる電力伝送理論」電子情報通 信学会誌 , vol.104, no.1, pp.75-80, Jan. 2021. [3] T. Ohira, “A radio engineer’s voyage to doublecentury-old plane geometry,” IEEE Microwave Magazine, vol.21, no.11, pp.60-67, Nov. 2020. 同窓会のみなさん、お元気です か。私こと令和3年3月で本学を 退職致しました。在職中は情報工 学系ならびに電気・電子情報工 学系に所属、着任時から14 年の 長きにわたり教員の皆様そして 事務局の皆様に大変お世話にな りました。この場をお借りして厚く お礼申し上げます。幸いにして同年 4 月から本学未来ビー クルシティリサーチセンター専属教員として引き続き常勤雇 用となりました。 学内所属変更に伴い長く住み慣れた電気系研究棟から イノベーション第 2 研究棟に移りました。場所は変わっても 研究室の名称「波動工学研究室」は健在です。系所属か らリサーチセンター所属になったので新しい 4 年生の研究 室配属はありません…が、力強い味方=アルバイト学生 20 名(本学1年生〜 4 年生)を受け入れ、研究室は益々活気 に満ちています。 研究室の主題「波動工学」をここで少し紹介しましょう。 本学の学習カリキュラムで本格的な波動工学に最初に接 するのは学部 3 年次の選択科目「高周波回路工学」です。 この科目では学期開始早々の授業で図1に示す円線図を描 く練習をします。このとき分度器やコンパスは使いません。 フリーハンドで如何に美しく描くかがポイントです。この円 線図の数学的背景や物理的意味を全く説明せず、とにかく 無心で美しく描く練習です。学生君たちは各自のノートに鉛 筆で、そして特に美しく描けた学生君は前に出てホワイトボ ードに大きく描いてみんなに披露します。描画を繰り返す過 程で学生君たちから素朴な質問が囁かれ始めます。ところ でこの図形って波動とどういう関係?とか、円弧が規則的に 並んでるので全体をひとつの簡単な数式で表せるかも?な ど。ここまで来れば導入ステージクリアです。 研究室では世界最高レベルの波動工学を独創的に研究 推進しています。革新的基礎理論の創発からシステム応用 そして世の中への社会実装です。波動工学の基礎理論で ある円線図(図1)は20 世紀の発明とされていましたが、実 は19 世紀のフランスの数学者ポアンカレ(図 2)が提案し 退職教員より 2022 年 第 39 号 TUT 同窓会報 13 筆者近景 図1 学部3年次の授業で登場する美しい円弧群 図2 アンリ・ポアンカレ(1854–1912)

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