同窓会報No.37

4 2020 年 第 37 号 TUT 同窓会報 退職教員より 「研究は面白い」 森 謙一郎 の学生のサポートがあったからです。高専出身者はものづ くりの高い素養を持っており、研究室の学生は研究の実 行、実験機器の製作、データの収集などをしてくれて、優 れた研究活動をすることができました。さらに、牧清二郎 三重大学名誉教授、原田泰典兵庫県立大学教授は研究立 ち上げ時にお世話になり、安部洋平本学准教授、前野智美 横浜国大准教授は研究に多大なご支援をいただきました。 恩師である大阪大学名誉教授の小坂田宏造先生がよくお っしゃっていた、「面白いことをする」、「国際誌に論文を書 く」を念頭に入れて研究を進めてきました。スタッフ、学 生、企業技術者とディスカッションしながら研究・開発を 進めていくと素晴らしいアイデアが生まれたり、研究を進 めていくと予想もしない結果が得られたりして、研究が非 常に面白かったです。学生も就職後このような研究・開発 の面白さを感じながら仕事をして欲しいと思っています。 2001 年に成形加工の数値解析の国際会議、2010 年と 2018 年に塑性加加工の国際会議を豊橋で、2014 年に塑性 加工の国際会議を名古屋で開き、国外からも多くの研究者 が出席し、研究の国際的な情報交換を行うことができまし た。自動車産業が多い愛知県で塑性加工関連の国際会議 を開くことができたのは有意義でした。 研究室では毎年に夏休み前に近くの海岸でバーベキュ ーを行って美味しいものを食べて楽しみ、写真は昨年 8 月 のバーベキューのものです。 楽しく研究、教育ができたのは先生、学生、職員、企業 技術者の皆様のお陰であり、深く感謝致します。 私は1997 年 10 月に大阪大学から生産システム工学系 の教授として赴任して、21 年半本学にお世話になりまし た。生産システム工学系は加工学、材料工学、生産計画 学の 3コースに分かれており、加工学の塑性加工研究室 に所属し、その後改組で機械工学系になりました。私は本 学に赴任するまでは、10ヶ月のドイツ留学を除いて大阪、 神戸、京都の関西圏から離れたことはなく、初めて関西圏 以外で生活することになり、少し不安でしたが、豊橋で楽 しく過ごすことができました。 私の研究している塑性加工は、金型によって金属材料 を大きく変形させて所定の形状にする加工法であり、電気 機器、自動車などの金属部品が製造されています。学生 時代から塑性加工をシミュレーションする有限要素法を 開発してきており、赴任直後もこの研究を続けていました。 しかし、1990 年代ぐらいから市販有限要素ソフトウエアの 機能が充実してきて、大学で開発を行うのが難しくなって きました。愛知県、静岡県は自動車産業が盛んであり、自 動車製造と深く繋がっている塑性加工の研究を行うのは 適した地域であり、本学に来てから産業界からホットな情 報が得られるようになり、その情報を元にして新しい塑性 加工法の開発という内容に研究をシフトすることができま した。特に、自動車の燃費を向上する軽量化部品の成形 技術は、世界的にリードしている研究であり、論文引用数 が非常に多くなっています。 有限要素法のソフトウエアから新加工法のハードウエ ア開発にうまくシフトできたのは、高専出身者が多い本学 夏休み前に近くの海岸で行っているバーベキュー

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