同窓会報 No.36 2019

研究室だより 環境・生命工学系 28 2019 年 第 36 号 TUT 同窓会報 水圏環境生物工学研究室の近況 博士前期課程2年  萩原 達也 制御技術の開発に取り組んでおります。 ( 3 ) 廃水処理プロセスにおける特定微生物の迅速・簡 便な計測法の開発 廃水処理プロセス内は pHや温度などの水質指標に基 づき運転・管理が行われており、実際にプロセス内で活 動している微生物については半ば、ブラックボックスの ような存在として扱われているのが現状です。そのため、 処理水質の悪化などのプロセスに重大な問題が起こって しまった場合、原状回復に大きな労力を必要としてしま います。この問題を解決するため、水質指標だけでなく、 プロセス内で活動している特定の微生物も指標とした、 水質と微生物の相互補完的な管理体制を整えることが必 要です。当研究室では、廃水処理プロセス内の特定微生 物を簡便・迅速に検出する新しい技術の開発に取り組ん でいます。 皆様、ご多忙のことかと存じますが、豊橋にいらした 際には是非研究室へお越しください。最後になりますが、 皆様のさらなるご活躍を研究室一同心よりお祈りしており ます。 卒業生、修了生の皆様、いかがお過ごしでしょうか。 皆様方には、益々ご健勝のことと存じます。簡単にでは ございますが、本稿では、水圏環境生物工学研究室 ( 山 田研究室 ) の近況についてご報告いたします。現在、当 研究室は、山田剛史講師以下、博士後期課程 1 名、博士 前期課程 2 名、学部生 2 名、技術補佐員1 名の 7 名で 活動を行っております。当研究室では、生物学的な環境 制御・保全技術の発展を目的として、微生物群集の機能 解明や微生物検出技術の開発などの研究に取り組んでお ります。また、地球上の微生物は 99%が、未だ発見され ていないと言われています。当研究室では、それらの微 生物を分離して、機能解明を行い、学名をつけることも 同時に行っております。簡単ではありますが、以下に当研 究室で取り組んでいる研究内容について記載いたします。 ( 1 ) ポリ乳酸廃材を原料とするメタン発酵法の最適化 と微生物群集の評価 ポリ乳酸は、化学的性質、物理的性質に優れており、 石油系プラスチックの代替材として有望とされている生 分解性プラスッチックの一つです。将来、プラスチック としての役目を終えたポリ乳酸廃材の適切な処理のため、 当研究室では、ポリ乳酸を原料としたメタン発酵法の最 適化を行っております。また、実験室スケールのメタン発 酵リアクターから分離した微生物の機能を解明し、その 情報をもとにリアクターの効率的に運転するための研究を 展開しています。 ( 2 ) 嫌気性廃水処理技術の次世代型制御技術の創成 嫌気性廃水処理技術は曝気による電力が必要でなく、 廃水処理時の副生成物としてメタンが回収できることか ら省エネルギー・創エネルギー型の廃水処理技術として 注目を浴びています。しかしながら、嫌気性廃水処理技 術の普及と適用可能な廃水種の拡大に伴い、新たな問題 が表面化してきております。当研究室では、運転上問題 となる数々の課題に対して、微生物生態学、分子生物学、 廃水処理工学の分野複合的な視点で解明し、嫌気性廃 水処理プロセスの安定化と高効率化を目指した次世代型

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